おんつじの資産育成記~投資信託と米国株で楽にお金を育てる

インデックス投資と米国株の記録。流れに身を任せてお金を増やす。

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 楽天VTに強敵現る

(2018.2.11更新)

eMAXIS Slimシリーズから販売された全世界型のインデックスファンド『eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 』。

これ一本で、日本を含む全世界に自動的に投資してくれます。

 

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楽天VT(楽天・全世界株式)と投資範囲が重なりますが、楽天VTの実質コストが想定外に高かったこともあり、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) の方に人気が集まっています。

 

それにしても既に「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」を販売していたeMAXIS Slimシリーズ。

この商品を出してきたのは何故でしょう。

まるで楽天VTを狙い撃ったような気が。。

 

そんな戯言はさておき、 「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」がどんなファンドなのか見てみましょう。

 

 

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は日本を含む47ヵ国に投資

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」のベンチマークは「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」です。

 

この指数は全世界の株式時価総額の上位85%の銘柄で構成されます。日本も含まれます。

これ一本に投資すれば、世界中の企業に分散投資できるのです。

 

 ACWIは23ヵ国の先進国と24ヵ国の新興国の株式で構成されます。

投資対象国を見てみましょう。

 

◆先進国

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◆新興国

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次に上位の国別比率です。

 

■ACWIの上位国別比率 (2019年1月)

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※同じACWIを指数とする「iShares MSCI ACWI ETF」データを用いています。

 50%以上を米国が占めます

2位は日本。中国がベスト5に入っていますね。

 

高齢化社会を迎えて経済成長が減速すると言われている日本や、米中貿易摩擦による景気減速が懸念される中国が上位に入ってしまうのは、全世界型のインデックスファンドの気がかりな点ですね。

今後の投資成績に影響を及ぼすかもしれません。

 

次に組入比率上位の銘柄を見てみます。

■上位10銘柄(2019.01.31)

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全世界に投資と言っても、上位は全てアメリカ企業になります。

ALPHABETはGoogleの持ち株会社です。議決権のある株と無い株で、クラスA、クラスCの2種類の株があります。

 

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」を買えばこれらの銘柄や国、全てに分散投資可能です。

 

全世界に投資できるという点では楽天VTと同じですが、何か違いがあるのでしょうか? 

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)と楽天VTの違いは小型株の扱い

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と「楽天VT」の違いは、採用している指数です。

楽天VTはバンガード社のVT(Vanguard Total World Stock ETF)を購入するインデックスファンドです。

このVTが採用する指数は「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」です。

これは世界40ヵ国の銘柄で構成されています。

 

ACWIとの違いは、VTには小型株も含まれる点です。VTの方は全世界の株式時価総額の97%程度の銘柄が含まれます。

ACWIは85%程度なので、VTの方が幅広く分散されます。

 

では、楽天VTの方がパフォーマンスが良いのでしょうか?

調べてみた結果、そんなことは無さそうです。

 

次のグラフはVTと「iShares MSCI ACWI ETF」の10年間チャートです。

■VTとACWIの長期チャート

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赤いグラフがeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の採用指数であるACWI、青いグラフがVTです。

殆ど同じですね。

 

上位の構成銘柄は同じになるので、当然と言えば当然でしょうか。

ここまで幅広く分散させると、小型株の有無はパフォーマンスに大きく影響を及ぼさないようですね。

 

楽天VTとの優劣は実質コストで決まる

株価のパフォーマンスに大差が無いなら、インデックスファンドはコストの差で優劣が決まってしまいます。

そして、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は他のeMAXIS Slimシリーズ同様に低コストが売りです。

 

楽天VTの信託報酬は0.1296%です。これにVTの経費である0.10%が加わるので、実際の信託報酬は合計0.2296%です。

 

一方で、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬は年0.15336%

eMAXIS Slimはかなりの低コストです。

 

さらに問題となるのが、実質コストです。

 

既に発表されている楽天VTの実質コストは約0.487%と、思っていたより高い結果となりました。

 eMAXIS Slimの実質コストがこれを下回るのであれば、楽天VTより優秀な全世界型のインデックスファンドとなります。

 

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」まだ設定されたばかりなので、実質コストは発表されていません。

しかし、eMAXIS Slimシリーズは他のインデックスファンドで、圧倒的な低コストを実現してきた実績があります。

 

その理由はマザーファンドの仕組みにあります。

eMAXIS Slimシリーズは過去から実績ある巨額な資産を持つマザーファンドを使うことで、低コスト化を実現しています。

 

他のインデックスファンドは思ったことでしょう。

 「え。。。そんなのあり?」

 「なんか、ずるくない?」

と。。

 

そして、この巧妙?な仕組みは「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」でも同様です。

 

■eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の運用

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eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は3つのマザーファンドで運用されます。

「外国株式インデックスマザーファンド」

「新興国株式マザーファンド」

「日本株式インデックスマザーファンド」

 

全て従来のeMAXISシリーズから運用を行っている、豊富な資産を持つマザーファンドです。

 

これらのマザーファンドを使っているeMAXIS Slimシリーズの実質コストは軒並み低コストであることが既に報告されています。

  • eMAXIS Slim先進国株式・・・実質コストは信託報酬の1.5倍
  • eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)・・・実質コストは信託報酬の1.03倍
  • eMAXIS Slim新興国株式・・・実質コストは信託報酬の1.7倍

 

この感じだと、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の実質コストは高くても信託報酬の約2倍、0.3%程度に収まるのではないでしょうか?

 

そうなると楽天VTとは年間で0.2%近い差がついてしまいます。eMAXIS Slimの方が明らかにお得です。

 

大した差では無いと思うかもしれませんが、株価のパフォーマンスが同じようなものなら、わざわざコストが高い方を選ぶ必要もないですね。

楽天VTはコスト改善に努めないと、勝ち目が無さそうです。

 

とりあえず世界分散投資したい人には優れた商品です

投資に興味のある方には

 「アメリカの株をメインにしたいな」

 「日本株は要らないな」

と言う人もいると思います。

そういう人にはこのファンドは不要ですね。先進国、新興国への投資比率が勝手に決まってしまいますから。

 

そのような こだわりはなく、

  「色々な国に分散して投資させたい

 「でも、自分で配分を考えるのは面倒

と言う人には優れたファンドだと思います。

 

このファンドの最大の特徴は、投資対象とする国や株式を自動的にリバランスしてくれることにあります。

 

 投資にあまり時間をかけたくない人、初めての投資でとりあえず世界分散投資したい人にとって、これ以上に最適なインデックスファンドも多くないでしょう。

 

インデックス投資の第一歩は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」。

そんな時が来るかもしれないですね。

 

 

だけど、世界経済の中心であるアメリカ以外の割合が大きいので、投資効率が落ちてしまう可能性も否定できません。

この点は以下の記事に書いています。


世界全体に投資する場合と米国だけに投資した場合のパフォーマンスの差はバンガード社のVTとVTIを比較することでも掴めます。


他にも先進国、新興国、米国のインデックスファンドのデータを比較しています。

参考:投信・ETF最新データ カテゴリーの記事一覧

 

 

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