2018年の新興国への投資を振り返る 株安より通貨安が問題?
買っても買っても一向に上がらない。新興国のインデックスファンドやETFに投資している人にとって、2018年は寂しい結果となりました。
私も「SBI・新興国株式インデックスファンド」を買っていますが、今や含み損がデフォルトの状態。どれだけマイナスになっているのかすら、関心を失いつつあります。
一体全体、どの国のパフォーマンスが悪かったのか?
2018年の各国の状況を見ると株安だけでなく、通貨安が新興国のパフォーマンスに大きく影響を与えていることが分かります。
2018年の新興国の株価は好不調な国が分かれる結果に
下の赤色のグラフは「iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF(EEM)」という新興国全体に投資するETFの2018年の値動きです。黄色はアメリカのS&P500指数です。
「eMAXIS Slim新興国株式インデックスファンド」等、多くの新興国に投資するインデックスファンドはこのEEMと同じ「MSCIエマージングインデックス指数」を採用しています。
EEMは年初来で-18%程度の下落という結果となりました。
しかし、国別に各国の株式指数の騰落率を見ると、全ての国が株安に見舞われているわけではないことが分かります。
■新興国各国の株式指数騰落率(2018年12月28日時点)
国 | 騰落率 |
---|---|
中国 | -21.1% |
韓国 | -19.8% |
台湾 | -9.8% |
インド | -1.0% |
インドネシア | -5.7% |
南アフリカ | -16.3% |
ロシア | 9.2% |
ブラジル | 9.2% |
メキシコ | -17.4% |
※三菱UFJ国際投信のマンスリーレポートより抜粋
中国、韓国の下がりっぷりは凄いものがあります。
「MSCIエマージングインデックス」は中国、韓国が40%以上を占めるので、この2国の株安が新興国の株式指数の下落に大きく影響しています。
一方で他の国を見てみると、ロシアやブラジルの株式指数は好調でした。
インドやインドネシアもマイナスでしたが、S&P500が-5%程度だったことを考えれば悪い結果ではないですね。
株安より通貨安がパフォーマンスを押し下げる結果に
私たちが購入する新興国のETFやインデックスファンドの価格はドルや円で換算されるので、各国通貨の為替レートもパフォーマンスに大きく影響します。
先ほどの表に為替を反映させると次のような結果になります。
■新興国各国の株式指数騰落率(ドル建て)
国 | 騰落率(ドル建) |
---|---|
中国 | -21.3% |
韓国 | -23.3% |
台湾 | -12.8% |
インド | -10.2% |
インドネシア | -12.2% |
南アフリカ | -28.6% |
ロシア | -7.3% |
ブラジル | -7.3% |
メキシコ | -17.9% |
※三菱UFJ国際投信のマンスリーレポートより抜粋
上の表は先ほどの各国の株式指数の騰落率をドル建てに換算したものです。
ドル建てにした途端、ロシアもブラジルもマイナスに転じてしまいます。インドも10%以上のマイナスですね。
2018年の新興国は中国や韓国の株安に加えて、各国の通貨安がパフォーマンスを大きく押し下げたことが分かります。
せっかく幾つかの国の株価が上がっても、通貨安で台無しにされてしまうという結果でした。
2019年も新興国の株・通貨は苦戦するかも
新興国のいくつかの通貨のドル相場をピックアップしました。
■ブラジルレアル 対ドルチャート
■ロシアルーブル 対ドルチャート
■インドルピー 対ドルチャート
■南アフリカランド 対ドルチャート
もれなく年初から下がっています。
インドのルピーは上がってきていますね。2019年も上昇してくれるでしょうか。
新興国の通貨安の原因の一つはアメリカの利上げと言われています。
アメリカの金利が高いのであれば、リスクの高い新興国にわざわざ投資せず、アメリカのドルや債券を買う方が安心。その結果として新興国から資金が引き上げられ、通貨安につながると言われています。
アメリカは来年も利上げを続けるということなので、新興国の通貨安が一気に回復するのは難しいと予想されます。
そうなると新興国に投資するETFやインデックスファンドの苦戦も続きそうですね。
新興国の政治的なリスクも通貨安を進める原因です。
私はインドの経済成長に期待して、EPI(ウィズダムツリーインド株収益ファンド)というインドのETFを保有しています。
ただ、インドは来年の春に下院選挙が予定されており、そこでモディ首相が率いる与党が負けると株もルピーもえらいことになりそうです。
2018年の州議会選挙でも与党が負けているらしいのですよ。私はきっと春頃に震えています。そこまでに株やルピーが上がって一度利確させてくれないですかね。。
他にも中国は米中貿易交渉の行方が心配。ロシアはアメリカからの制裁や原油安が心配等、経済以外の面でもリスクが付いて回るのが新興国です。
何が株安・通貨安を招くか想像がつきません。短期的に値上がりしたからって、大きく買わないように気を付けたい。
だけど、株安が進んでいる分、新興国の株価は欧米や日本を始めとした先進国よりも上昇余地はあると思います。全く投資しないという選択肢も勿体ないと感じています。
2020年にはアメリカの利上げが停止すると言われてます。そのころが上昇するチャンスかもしれません。
将来の株価や通貨の上昇を期待して、無理のない範囲で仕込んでおくと面白いかなと思っています。
他の記事の紹介です。
新興国のインデックスファンドよりインドのETFを好んで買っています。インドの成長に期待してます。
新興国のインデックスファンドのポートフォリオ、成績を纏めています。月1回程度更新。
アメリカの株価下落をインド株がリカバリしてくれないか。そんな妄想を抱いている。
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