つみたてNISAでは外せない 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)
『楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)』は世界経済の中心であるアメリカの株式全体に投資することができるインデックスファンド。2018年に始まったつみたてNISAでも人気の商品です。
私も定期的に幾つかのインデックスファンドを購入していますが、楽天VTIの購入額が一番大きくなるようにしています。
ここでは楽天VTIの特徴、ポートフォリオやパフォーマンスを紹介します。
- 楽天・全米株式(楽天VTI)はアメリカの株式全体に分散投資する
- 楽天VTIの上位10銘柄(2018.11.30時点)
- 楽天VTIの業種別構成比率(2018.11.30時点)
- 楽天VTIの信託報酬、実質コスト
- 楽天VTIのパフォーマンス
- 楽天VTIは積立投資のコアとなるインデックスファンド
楽天・全米株式(楽天VTI)はアメリカの株式全体に分散投資する
『楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)』は米国のバンガード社のETF であるVTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)を買い付けるだけのファンドです。
このVTIはアメリカに上場している株式全体に投資できるETFです。
日本でVTIを直接買うと、外国株の購入手数料がかかってしまいます。
「楽天VTI」はVTIを手数料無しで少額からの購入を可能とした素晴らしいインデックスファンドです。
ちなみに、米国株に投資するインデックスファンドは他に
・S&P500をベンチマークとする「eMAXIS Slim米国株式」「iFree S&P500インデックス」
・NYダウをベンチマークとする「iFree NYダウインデックス」
等がありますが、S&P500の構成銘柄は米国の大型・中型株の500銘柄、NYダウは大型株30銘柄のみにとどまります。
これに対し、楽天VTIは米国の大・中・小型株の3,700近い銘柄で構成され、アメリカの上場株式のほぼ全てをカバーするのが最大の特徴です。
現時点でアメリカの株式全体に投資できるインデックスファンドは「楽天VTI」のみです。
楽天VTIの上位10銘柄(2018.11.30時点)
楽天VTIはどのような銘柄で構成されているのでしょうか。上位10銘柄を見てみましょう。
Microsoft,Apple,Amazon,GoogleといったIT業界の巨人が上位を占めます。
楽天VTIの業種別構成比率(2018.11.30時点)
次にセクター(業種)別の構成比率を見てみます。
「金融」と「情報技術」で40%近くを占めます。楽天VTIはこの2つの業種の株価に大きく影響を受けることになりますね。
楽天VTIの信託報酬、実質コスト
インデックスファンド選択のポイントであるコストについて調べてみました。
楽天VTIの信託報酬は年間0.1296%、これに本家VTIの経費である0.04%が加算された年間0.1696%がコストとして発生します。
さらに「売買委託手数料」等、信託報酬以外の費用も発生します。
2018年に交付された運用報告書において、信託報酬以外の費用明細は以下の通りでした。
■楽天VTI の費用明細 (2017.09.28~2018.07.17)
項目 | 比率(%) |
---|---|
売買委託手数料 | 0.077 |
有価証券取引税 | 0.000 |
保管費用 | 0.010 |
監査費用 | 0.000 |
印刷費用 | 0.019 |
その他 | 0.000 |
合計 | 0.106 |
合計0.106%が信託報酬以外のコストです。
この値は2017年9月28日~2018年7月17日の 292日間のコストなので、1年間(365日間)のコストに換算します。
0.106×365÷292=0.1325%
が年間の信託報酬以外のコストですね。
そうなると、楽天VTIの年間の実質コストは
0.1696% + 0.1325% = 0.3021%
となります。
この0.3%を高いと捉えるかは人それぞれだと思いますが、VTIを手数料無しで少額購入できるお手軽さを実現したことを考えると、個人的には高くないかなと考えています。
ちなみに、ライバルである「eMAXIS Slim米国株式」の実質コストはまだ発表されていません。
「iFree S&P500インデックス」の実質コストは約0.37%と楽天VTIより高コスト、「iFree NYダウ」は約0.287%と楽天VTIより低コストとなっています。
楽天VTIのパフォーマンス
肝心のパフォーマンスはどうなのでしょうか。
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』の大本であるVTIをもとに調べてみます。
先進国や全世界に投資する場合との比較
楽天VTIはアメリカのみが投資対象ですが、インデックスファンドでは先進国に分散投資するタイプや全世界に分散投資するタイプも人気です。
先進国に分散投資するタイプには「eMAXIS Slim先進国株式」や「ニッセイ外国株式」があります。
全世界に投資するタイプには「楽天・全世界株式(楽天VT)」や「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」等が有名です。
これらと楽天VTIのパフォーマンスを比べてみます。
次のチャートはVTIを楽天・全世界株式の大本であるVT、先進国に投資するETFである「iシェアーズ MSCI コクサイ ETF 」と比較したものです。
■VTIの株価比較チャート(2009.1.02~2018.12.31)
2009年1月から2018年12月31日までのチャートです。
最上位の赤色が「VTI」、黄色が「iシェアーズ MSCI コクサイ ETF 」、水色が「VT」です。
過去10年間では先進国や全世界に分散投資するよりも、アメリカ全体に投資した方がパフォーマンスが遥かに優れていることが分かります。
では、2018年はどうだったのでしょうか。
2018年は世界中の株価が下落する残念な結果となりました。中でもアメリカの株価急落が大きく伝えられていたこともあり、アメリカのみに投資するのは危険と思う人もいると思います。
2018年のVTIのチャートを先進国、全世界と比較してみましょう。
■VTIの株価比較チャート(2018.1.02~2018.12.31)
2018年1月から2018年12月31日までのチャートです。
確かに2018年終盤にVTIは大きく下げていますが、同じように先進国や全世界に投資するETFの価格も下がっています。
アメリカの株価が下がると世界中でリスクオフの傾向が強まり、全世界で株価が下がる傾向が高いですね。それであれば、
「弱気相場時はどの国の株価も下落する。過去に力強い上昇を続けている実績あるアメリカのみに投資しておけば問題ない」
という考えも一理ありますね。
S&P500やNYダウとの比較
過去の実績を見ると、アメリカ以外の国に投資するより楽天VTIを買っておいた方が良さそうな感触です。
では、同じアメリカのみに投資する場合でも、S&P500やNYダウと比べた場合はどうなのでしょうか。
前述の通り、インデックスファンドの中にはS&P500やNYダウに連動するものもあります。それらではなく、楽天VTIを買うメリットはあるのか?
VTIとS&P500、NYダウのパフォーマンスを比較してみます。
■VTI,S&P500,NYダウの株価比較チャート(2009.1.02~2018.12.31)
2009年1月から2018年12月31日までのチャートです。
赤色が「VTI」、黄色が「S&P500」、水色が「NYダウ」です。
10年間で見るとVTIが一番良いパフォーマンスでしたが、S&P500とは僅差です。
切り取る期間によってS&P500の方が良い時期もあります。VTIとS&P500は上位銘柄は全く同じなので、パフォーマンスは類似しがちです。
一方でNYダウは30銘柄のみで構成されていて、VTIやS&P500と構成がかなり異なります。そのあたりがパフォーマンスの差に出ているのだと思います。
この結果を見るとNYダウよりはVTIの方が安心。VTIとS&P500は大差なく、好みで選べば良いってことでしょうか?
例えば、米国の小型株にも分散投資したいという人は「楽天VTI」を選べばいいでしょうし、コスト重視の人はS&P500を指数とする「eMAXIS Slim米国株式」のコストが「楽天VTI」を大きく下回るのであれば、「eMAXIS Slim米国株式」を選択すれば良いと思います。
楽天VTIは積立投資のコアとなるインデックスファンド
楽天VTIの特徴をまとめると、次のようになります。
- アメリカの株式のほぼ全てに分散投資できるのは楽天VTIだけ。
- 過去の実績では他の国・地域に投資するより、VTIのみに投資した方が好パフォーマンス。
- 過去の実績ではNYダウより好パフォーマンス。S&P500とは大きく変わらない。
このことから、これからつみたてNISA等でインデックスファンドを積み立てたいと考えている人は楽天VTIをメインの候補としていいと思います。
アメリカ一国のみに集中させることに不安を感じる場合、楽天VTIを投資先のコアとして、先進国や新興国、もしくは全世界に投資するインデックスファンドをサブとして積み立てればいいでしょう。
過去10年を振り返るとアメリカの株式への投資が最も良いパフォーマンスを示してきました。この傾向がすぐにひっくり返る可能性は低いのではないでしょうか。
そのような考えもあって、私は当面は自分の資産の中の米国株の比率を多めにしたく、楽天VTIを投資のメインにしています。
「あれ?楽天VTIじゃなくてS&P500は?eMAXIS Slim米国株式は?」
私が楽天VTIの方を選んだ理由は次の記事に書いてみました。単なる好みの問題ですけど。
米国に投資するインデックスファンドのポートフォリオ、パフォーマンスの比較記事です。毎月1回更新予定。
2019年の米国株の行方が不安だけど、目と耳を塞いで投資を続けたい 。
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