ブラックロック ETFの低コスト化全盛の時代に反旗を掲げる?
世界最大の資産運用会社BlackRock(ブラックロック)。
彼らが販売する『iShareシリーズ』のETFは低コスト、かつ幅広いラインナップが揃えられており、ETFでインデックス投資を行う人にとってはお馴染みの存在です。
そんなBlackRockですが、ETFのコストが最重視される風潮に反旗を掲げるような発言をしています。
もっと稼がなければいけないBlackRock。低コスト全盛時代にNo?
ETFは激しい低コスト化争いが続いています。
例えば、ブラックロックが販売するS&P500と連動するETF「IVV(iShares Core S&P500 ETF)」は純資産が19兆円にも達する人気のETFで、年間経費は0.04%と超低コストです。
しかし、最近になってライバルであるVanguard(バンガード)のVOOが年間経費を0.03%に引き下げました。IVVもさらなる経費引き下げに迫られていることでしょう。
そんな競争にうんざりしたのでしょうか?
Bloombergの記事によると、ブラックロックの米国・カナダ・中南米のETF事業責任者がこんな発言をしたようです。
「最近のETFはコストだけが強調されている。」
「私は低コストだけに言及するのは止める。質が重要だ!」
低コスト化に反旗、、、と言うと大げさかもしれませんが、低コストETFばっかり売るのはご免だと言っているようにも受け取れます。
低コスト大好きな私たちからすると、
「な、何だって~~!!」
と机を叩いて立ち上がりたくなりそうなコメントですが、ブラックロックにとっては当然の流れなのかもしれません。
なぜなら、ブラックロックは株式を公開している企業だからです。
ブラックロックはユーザだけでなく、自分たちの株主に利益を還元する必要があります。
株主に利益を還元するには営業利益を出すだけではダメで、営業利益を伸ばし続ける必要があります。
■BlackRockの利益は高価格帯ETFが中心
bloombergから引用
これは、BlackRock(ブラックロック)、State Street(ステートストリート)、Vanguard(バンガード) の3社が、どの価格帯のETFで利益を出しているのかを示した図です。bloombergの記事から引用しました。
これを見ると、バンガードやステートストリートが低価格帯のETFで多くの利益を出しているのに対し、ブラックロックは経費率0.4%以上の比較的高い価格のETFが利益の中心です。
この高価格帯のETFが低コスト化の圧力にさらされてしまうと、ブラックロックの利益は大きく下がってしまいます。
bloombergの試算では、ブラックロックの全商品がバンガード並みに下がると、年間30億ドルの収入減になるとのことです。
このような事情から、ブラックロックは高価格帯でも質の高いETFを販売して利益を増やし続ける必要があります。
ブラックロックは5つのテーマ型ファンドに力を入れる
ブラックロックは今後、テーマ型のETFの開発に力を入れていくようです。
対象とするテーマは以下の5つです。
・テクノロジーの発展
・人口動態と地域情勢の変化
・急速な都市化
・気候変動と資源の需要
・新興国の経済成長
これらのETFの年間経費は平均0.65%になるとのことです。
この ブラックロックの方針は低コストなインデックスファンドを好む個人投資家にとっては、少し残念に映るかもしれません。
テーマ型やスマートβ等、色々な種類のファンドがありますが、大半は一般的なインデックスに負けてしまうことが多いですから。
でも、それは今までの話であって、将来はどうなるか分かりません。
昔と違って、これからはビッグデータを用いた機械学習やAI(人工知能)といったテクノロジーが、ETFの開発に大きく利用されていきます。
想像でしかないですが、今まで開発されてきたETFとは大きく質が異なってくるのではないでしょうか。
もしかしたら、「殆どのアクティブファンドはインデックスに負ける」という過去の実績を覆すかもしれません。
だからではないですが、ブラックロックがこれから出してくるテーマ型のETFには注目していきたいです。
個人的には人口動態に着目したETFには興味があります。
新興国で人口増加国にだけフォーカスしたETFとか、少し買ってみたいですね。
何より、これらのETFでブラックロックの利益が上がれば、IVV等の他の低コストETFのコストを更に引き下げてくれるかもしれません。
ブラックロックがこれからも低コストETFを提供しつづけるためにも、高価格帯ETFの売上アップが必要なのだと思います。
他の記事の紹介です。
IVVはブラックロックが販売するS&P500に連動するETFです。
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日本のインデックスファンドも激しいコスト争いが続いています。
eMAXIS Slim先進国株式とニッセイ外国株式の信託報酬は米国のETF並みになってきました。
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