ディズニー(DIS) 決算 2019年Q1 ストリーミングの投資コストが増加
初老の紳士「ディズ(DIS)様!ディズお嬢様~!」
ディズ(DIS)「あら、ウオルト。どうしたの?そんな血相変えて」
ウオルト「こ、この支出は何ですか!?一体何に使われたのですか!」
ディズ「ああ。これ?ストリーミング事業への投資に使ったのよ。前も投資したじゃない。」
ウオルト「し、しかしこの金額は。。。この3か月で1億ドルも損失が出ていますが。」
ディズ「そうね。去年は10億ドルくらい投資したかしら?」
ウオルト「そ、そんなに!このままでは当家がつぶれてしまいますぞ!」
ディズ「ウオルト。目先の利益だけ見てはいけないわ。窓の外を見なさい。何が見えるの?」
ウオルト「何って、ディズ様が作ったディズニー・ワールドじゃないですか。いや~、今日も盛況ですな~」
ディズ「ふふ」
ウオルト「??」
ディズ「ウオルト。彼らには魔法をかけているの。この魔法はね、一度かかったら何度でもディズニー・ワールドに来てしまうのよ。」
ウオルト「な、なんですって!?」
ディズ「例えチケットを値上げしても、この夢の国に足を運んでしまう。その度に彼らがお金を落としてくれるわ。だから安心なさい。10億ドルなんて大したことないの。」
ウオルト「な、なんて卑劣な。。。しかし、そんなに都合よくいくのですか?」
ディズ「結果が示してるわ。ほら、この決算報告書を見てみなさい。」
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はい。ウォルト・ディズニー(DIS)の2019年Q1決算を見てみましょう。
- ディズニー(DIS)の2019年Q1決算 前年から減益も市場予測を上回る結果に
- ストリーミングサービスへの投資で損失計上。メディア、テーマパークは好調。
- 『direct to customer』強固な収益基盤を武器にストリーミングを全力強化
ディズニー(DIS)の2019年Q1決算 前年から減益も市場予測を上回る結果に
ウォルト・ディズニーの2019年Q1決算。
純利益やEPSは前年同期から減益となりましたが、市場予想は上回る結果でした。
力を入れている「ストリーミングサービス事業」への投資による損失を、好調な「メディア事業」や「テーマパーク事業」がカバーしています。
Q1の決算結果です。
前年同期と比べると、売上高はほぼ横ばい。純利益やEPSは30%以上のマイナスでした。
これだけだと悪い結果に見えますが、市場予想では売上高が151.4憶ドル、EPSが1.55ドルでした。
市場予想を大きく上回る結果となったので、決算発表後の時間外取引では株価が2%上昇しています。
でも、その後にすぐに下がっちゃいました。。。
■ディズニー(DIS) 株価チャート
ストリーミングサービスへの投資で損失計上。メディア、テーマパークは好調。
前年から減益となった理由は、ストリーミングサービスへの投資による損失計上と映画部門の利益減少です。
各事業部別に決算結果を見てみましょう。
Direct-to-Consumer & International
ストリーミングサービスを手がける「Direct-to-Consumer & International」部門の決算です。
営業利益は1億ドル以上の損失でした。
これは2018年に立ち上げたスポーツ中継のストリーミングサービスを提供する「ESPN+」、そして今年後半に立ちあげる新しいストリーミングサービス「Disney+」への投資コストが増加したためです。
投資の成果か分かりませんが、「ESPN+」の加入者は5ヶ月間で200万人増加しました。
ストリーミングサービスはディズニーが最も力を入れている事業ですので、今後も投資を継続します。来期の営業利益にも2億ドル程度の影響を与えるようです。
Studio Entertainment
次は「Studio Entertainment」。映画部門です。
前年度から売上は20%以上、営業利益は60%以上減少しました。
減益の理由は前年度の結果が良すぎたからです。
2018年Q1は「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」の売上がありました。
今期に公開された「メリー・ポピンズ リターンズ」等の売り上げがスター・ウォーズに及ばなかったために減益となったということです。
「じゃあ、しょうがないか」という感じでしょうか。
映画やストリーミングは減収・減益となりましたが、他の事業部門、メディアやテーマパークは好調でした。
Media Networks
メディア部門「Media Networks」の決算です。
こちらは増収・増益です。
全米の全国放送局の一つ、ABCテレビの利益が40%増加したことが大きいです。
広告収入やテレビプログラムの放映権提供の収入が増加しました。
一方でケーブルテレビのESPNは放送コストの増加で営業利益が減少しています。
Parks, Experiences & Consumer Products
次はディズニー・ワールド等のテーマパークやグッズを手掛ける「Parks, Experiences & Consumer Products」です。
営業利益が10%増加しました。
アメリカ国内のディズニー・ワールドで来場者の支出が増えたためです。
高額なチケットとホテルの部屋の売上がよかったこと、食べ物・飲み物の販売が増えたことを理由に挙げています。
一方でアメリカ国外のテーマパークは不調だったようです。
上海やパリのディズニーリゾートで来場者の減少、コストの増加のために利益が減りました。
前述のとおり、「メディア」と「テーマパーク」がストリーミング事業の損失をカバーしていますね。
『direct to customer』強固な収益基盤を武器にストリーミングを全力強化
今回の決算発表はディズニーのストリーミング事業への積極的な投資が見て取れるものになりました。
ディズニーは21世紀フォックスを買収しますが、この買収が完了すれば動画配信サービス「Hulu」の株式を60%取得することになります。
「Disney+」、「ESPN+」、「Hulu」。
この3つのストリーミングサービスをもって先駆者のNetflixやAmazon Priime Videoに挑みます。
ストリーミングサービスを世界中に展開するには多額な投資が必要ですが、ディズニーにはメディア、テーマパーク、映画といった強固な収益基盤があります。それが巨額な投資を可能にするのでしょう。
アイガーCEOも決算説明の場で
「強靭なdirect-to-customer(顧客に直結する)ビジネスを築き上げることが最優先」
「そのための技術とコンテンツに投資を継続していく」
と述べています。
ストリーミングサービスの成功なくしてディズニーの成功はない、といった状態になりそうですね。
今年立ち上げるDisney+からは目が離せません。
~~~~~~~~冒頭へ~~~~~~~~
ウオルト「ディズお嬢様。何故ストリーミングサービスにご執心なのですか?」
ディズ「ウオルト。5Gって知ってる?」
ウオルト「次世代の通信規格ですよね。それがどうかしたのですか?」
ディズ「5Gになれば2時間の映画を数秒でダウンロードできるらしいわ。そんな世界になったらどうなると思う?」
ディズ「わざわざ映画館に映画を見に行くかしら?みんな、家でお菓子食べながら、配信される映画を見るんじゃない?」
ウオルト「。。。」
ディズ「私たちの映画を届けるには映画館やテレビ局だけではもうダメなのよ。もっとダイレクトにユーザに映画を届ける。そのためにストリーミングサービスが必要なの。それをNetflixやAmazonに任せるわけにはいかないでしょ?自分たちの映画は自分たちで届けなきゃ。」
ウオルト「そ、そこまでお考えになっていたのですか?私、感激です!」
ディズ「ふふ。これで私の魔法にかかる人間を増やせるわね。どれだけお金を落としてくれるかしら。楽しみね~。」
ウオルト「?」
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株価が上がる魔法にならかかりたいです!
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Disney+ は4月のinvestor meetingで初披露される予定です。
アナと雪の女王の続編もDisney+で配信されるようになるかもしれません。
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