eMAXIS Slim先進国株式とニッセイ外国株式を比較 投資するメリットは?
【2019.03.21更新】
世界の有名企業に長期投資して資産を増やす。
それを簡単に実現してくれるのが、『ニッセイ外国株式インデックスファンド』と『eMAXIS Slim先進国株式インデックス』です。
どちらも先進国の株式指数に分散投資する投資信託です。
日本以外の株式に投資するインデックスファンドの中で、最もコストパフォーマンスに優れたファンドと言っても間違いはないでしょう。
では「ニッセイ外国株式インデックス」と「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」はどのようなファンドなのでしょう。そして、どちらを選ぶべきなのでしょうか。
先に結論を言ってしまうと、今現在は「eMAXIS Slim先進国株式」の方がコスト、人気の面で優位に立っています。
ただ、どちらを選んだとしても大きな間違いは無し。
つみたてNISA等で投資を始めたいと思っている人は、どちらか一つはポートフォリオに組み込んでおきたいファンドです。
- eMAXIS Slim先進国株式とニッセイ外国株式の投資対象国は?
- 両ファンドの上位銘柄
- ニッセイ外国株式インデックスは圧倒的な純資産を誇る人気ファンド
- eMAXIS Slim 先進国株式が巻き起こす低コスト化競争
- 実質コスト、資金流入額を比較
- 投資する価値はあるのか
- 結局どちらを買えばいい?
eMAXIS Slim先進国株式とニッセイ外国株式の投資対象国は?
「eMAXIS Slim先進国株式」と「ニッセイ外国株式」はMSCI Kokusai インデックスという株式指数に連動することを目指した投資信託です。
MSCI Kokusaiは、 MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)という会社が出している先進国の株式指数の一つです。
日本を除く先進国22ヵ国の1,309銘柄が時価総額の大きい順に組み込まれています。
投資対象国は以下の通りです。
■MSCIコクサイ 投資対象国
先進国のみで構成される指数なので、アジアは少ないです。南米やアフリカはゼロです。
中国、インド、南米等の新興国に期待される急激な経済成長を取り込むことはできません。
ですが、政治・経済が安定した国に幅広く分散投資できるので、リスクを抑えて確実に資産を増やす投資が可能です。
投資対象国の上位の内訳を見てみます。
※MSCIコクサイに連動するETFである「iShares MSCI Kokusai ETF 」のデータを掲載しています。
世界経済の中心であるアメリカが70%を占めます。
他はイギリス、フランス、スイス、ドイツといったヨーロッパ諸国が多いです。
「eMAXIS Slim先進国株式」と「ニッセイ外国株式」に投資するということは、資産の70%はアメリカ、30%はアメリカ以外の先進国に分散投資することと覚えておきましょう。
両ファンドの上位銘柄
では、「eMAXIS Slim先進国株式」と「ニッセイ外国株式」はどのような企業に投資しているのでしょうか?
MSCI Kokusaiの上位20銘柄を見てみます。
■MSCI Kokusai上位20銘柄(2019.03.09時点)
※MSCIコクサイに連動するETFである「iShares MSCI Kokusai ETF 」のデータを掲載しています。
Apple、Microsoft、Amazon、Facebookといった、世界中の誰もが知る企業が上位を占めます。見てのとおり、殆どがアメリカの企業ですね。
10位にスイスの食品会社であるNestleがようやく入ってきます。
いずれにせよ、殆どが名前を聞いたことがある世界的な優良企業です。
「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」や「ニッセイ外国株式インデックス」を買うだけで、世界TOPクラスの優良企業に分散投資することができます。
このように世界の優良企業に分散投資ができる「ニッセイ外国株式」と「eMAXIS Slim先進国株式」ですが、両ファンドに違いはあるのでしょうか。
どちらもMSCI Kokusaiに連動するファンドなので、投資対象となる国・企業は同じです。
ここからは両ファンドの特徴を見ていきます。
ニッセイ外国株式インデックスは圧倒的な純資産を誇る人気ファンド
「ニッセイ外国株式インデックスファンド」はニッセイアセットマネジメントが販売するMSCI Kokusai と連動するインデックスファンドです。
2013年に販売開始されて以来、多くのインデックス投資家の支持を集めるファンドです。
その純資産は1,100億円以上。外国株式に投資するインデックスファンドでは他の追随を許さない、圧倒的な金額です。
「投信ブロガーが選ぶ Fund of the Year」でも2014年~2016年までは1位、2017年~2018年は2位でした。
その魅力は手数料の安さです。私が購入開始したのは2016年ですが、その頃の信託報酬は0.3%くらいでした。
当時人気だった「世界経済インデックスファンド」や「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は0.5%を超えていたので、いかに低コストで提供してくれたかが分かります。
今のインデックスファンドの低コスト化は「ニッセイ外国株式」が主導してきたと言っても、決して過言ではないでしょう。
現在も数多くのインデックスファンドのコストダウン争いに負けず、0.11772%にまで信託報酬を下げています。
しかし、「ニッセイ外国株式インデックス」の独走に待ったをかけたファンドが登場します。
それが「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」です。
eMAXIS Slim 先進国株式が巻き起こす低コスト化競争
「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」は三菱UFJ国際投信が販売する投資信託です。
販売開始は2017年2月と歴史は浅いですが、当時のニッセイ外国株式を凌駕する信託報酬の安さで、あっという間に人気となりました。
ちなみに、前述の「投信ブロガーが選ぶ Fund of the Year」で、2018年の1位は「eMAXIS Slim先進国株式」です。
「eMAXIS Slim 先進国株式」はそのファンドの構成によって、低コスト化を実現しています。
「eMAXIS Slim 先進国株式」も「ニッセイ外国株式」も、運用方法としてファミリーファンド方式を採用しています。
ファミリーファンド方式とはベビーファンドが皆さんのお金を集めてマザーファンドに投資します。実際に株式を運用するのはマザーファンドです。
「ニッセイ外国株式」や他のインデックスファンドは、ベビーファンドもマザーファンドも同じ時期に設立しているはずです。
しかし、「eMAXIS Slim先進国株式」はこのマザーファンドを新しく設立するのではなく、従来から存在するeMAXISシリーズを運用する「外国株式インデックスマザーファンド」を利用する仕組みを取りました。
■eMAXIS Slimのファンド構成
開始当初から巨額な資産を持つマザーファンドが存在します。その資金力を生かしてコスト低下を実現しています。
きっと、他のファンドは思ったことでしょう。
「え。。何かずるくない?」
と。
まあ、仮にずるかったとしても、私たちからすれば低コスト化は大歓迎なので、気にすることもないでしょう。
現在の 「eMAXIS Slim 先進国株式」の信託報酬は0.11772%。ニッセイ外国株式と同じです。
インデックスファンドは採用する株式指数に連動するように株式を運用します。同じ指数を採用するファンドの株価による成績は、ほぼ同じになります。
なので、他のファンドに差をつけるには、信託報酬を下げてコストメリットを出す必要があります。
2018年も「ニッセイ外国株式」が信託報酬が下げると、「eMAXIS Slim先進国株式」 も追撃するといったチキンレースがありました。
今後もお互いのコストを意識した運用がされていくと思いますし、先進国へ投資する他のインデックスファンドは、この2つのファンドのコストに対抗しないと生き残れないと思います。
「eMAXIS Slim先進国株式」の登場によって、インデックスファンドの低コスト化争いがより激しいものになった感があります。
実質コスト、資金流入額を比較
「ニッセイ外国株式」と「eMAXIS Slim先進国株式」の現在の信託報酬は同じです。
しかし、信託報酬以外のコストでが少し差がついています。
両ファンドの実質コストを見てみます。
■eMAXIS Slim先進国の信託報酬以外のコスト
・売買委託手数料 ・・・年0.016%
・有価証券取引税 ・・・年0.038%
・その他費用 ・・・年0.038%
合計 ・・・年0.092%
これはeMAXIS Slim先進国の信託報酬以外のコストです。
2017年2月27日~2018年4月25日の423日間のコストなので、 これを1年=365日分のコストに換算します。
(0.016+0.038+0.038) ×365÷422 ≒ 0.07939%が信託報酬以外の年間コストです。
今の信託報酬は0.11772%なので、実質コストは
0.11772+0.0794 = 0.19711%
になります。
次は「ニッセイ外国株式」の実質コストです。
■ニッセイ外国株式の信託報酬以外のコスト
・売買委託手数料 ・・・年0.005%
・有価証券取引税 ・・・年0.019%
・その他費用 ・・・年0.064%
合計 ・・・年0.088%
2017年11月20日から2018年11月20日の、365日分の信託報酬以外のコストです。
信託報酬の0.11772%を加算すると、
0.11772+0.008%=0.20520%
これが、今の「ニッセイ外国株式」の実質コストです。
僅差ですが、「eMAXIS Slim先進国株式」の方が低コストですね。
なお、他の先進国に投資するタイプのインデックスファンドの実質コストは0.25%を超えています。この2つのファンドの低コストぶりが際立っています。
実質コストでは「eMAXIS Slim先進国株式」の方に分があるようですが、人気に差はあるのでしょうか?
両ファンドの資金流入額の推移を見てみました。
■ニッセイ外国株式 月次資金流入額
■eMAXIS Slim先進国株式 月次資金流入額
2018年は人気が拮抗していましたが、2019年2月の資金流入額は差が開いています。
「ニッセイ外国株式」が10億円程度の流入に対し、「eMAXIS Slim先進国株式」は20億円以上資金が流入しました。
2019年1月に発表されたニッセイ外国株式の実質コストが、「eMAXIS Slim先進国株式」より高くなったことが影響しているのかもしれません。
現時点の人気では、「eMAXIS Slim先進国株式」が「ニッセイ外国株式」を一歩リードといったところでしょうか。
投資する価値はあるのか
「eMAXIS Slim先進国株式」や「ニッセイ外国株式」のようなMSCI Kokusaiに連動するファンドは、長期で資産運用するのに優れた商品だと思います。
少なくとも日本株だけを買うより、全然いいでしょう。
このチャートは、上から米国の株価指数S&P500に連動するVOO、MSCI Kokusaiに連動するiShares MSCI Kokusai ETF、日本の株式指数に連動するETF、新興国に連動するETF VWOの2010年からの推移を示したものです。
MSCI Kokusaiは基本的に右肩上がりで上昇を続けています。少なくとも過去10年では日本株や新興国に投資するよりは効果的でした。
ただ、S&P500に連動するVOOと比べると分かる通り、アメリカ一本に投資した場合に比べると利回りが劣ります。
それでも、「ニッセイ外国株式」や「eMAXIS Slim先進国株式」をメインの投資先とするのはありだと思います。
今後もアメリカ一強が続く保証はないので、他の国にも投資しておきたいところです。
今はヨーロッパ経済が不調なので、MSCI Kokusaiはアメリカの株式指数に劣っているのですが、「景気は循環するもの」と考えると、アメリカ以外の先進国の経済が復活する時もくるでしょう。
今のうちから「ニッセイ外国株式」や「eMAXIS Slim先進国株式」を買っておけば、先進国の株式を割安な時に多く仕込めるはずです。景気の低迷を脱出したとき、利益を大きく増やしてくれるのではないでしょうか。
結局どちらを買えばいい?
「eMAXIS Slim先進国株式」と「ニッセイ外国株式」は、どちらを買っても問題ないでしょう。同じMSCI Kokusai指数を採用している以上、株価による成績に大きな差はつきません。
今から買う人は、コスト差で若干優位に立つ「eMAXIS Slim先進国株式」の方を買っておけばいいと思います。
既に「ニッセイ外国株式」を買っている場合は、わざわざ乗り換える必要もないでしょう。
両ファンドのコストには差がありません。
毎年発表される決算結果次第で逆転の可能性もあると思います。仮にコスト差が開いたとしたら、その時点で乗り換えを検討すればいいと思います。
私はインデックス投資を「ニッセイ外国株式」から始めたので、今もつみたてNISAで「ニッセイ外国株式」を買っています。
一時期「eMAXIS Slim先進国株式」も買っていましたが、 この2つを同時に積み立てる意味は無いなと感じたので、投資金額が多い「ニッセイ外国株式」の方に集約しました。
今、私は米国株を中心に投資しているので「ニッセイ外国株式」の購入金額は低くなっています。
しかし、「卵は一つのかごに盛るな」という言葉もありますし、米国一国に集中投資するのは少し心配です。
アメリカ以外の国に投資するとなった場合、高齢化社会へ突入する日本や、成長が期待できるけど地政学リスクが付きまとう新興国だけでは不安を感じます。
「ニッセイ外国株式」や「eMAXIS Slim先進国株式」への投資は、政治・経済が安定している先進国各国への分散投資を可能とする貴重な投資手段だと思っています。
今後も私のポートフォリオから外れることはないでしょう。
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