インデックス投資をするなら、将来も新興国より米国株が優位なのか?
『20世紀はアメリカの時代、21世紀はアジアの時代。』
そんな言葉が示すように、中国やインドといった新興国の経済規模は近いうちに米国を追い抜くと言われています。
それでは、インデックス投資の投資先も米国から新興国にシフトしていった方が良いのでしょうか?
私は、そうとも限らないと思いました。
例え新興国の経済規模が米国より大きくなっても、米国株の魅力が損なわれるわけではないと思うからです。
インデックス投資は米国株が中心にならざるを得ない
私たちがインデックス投資で長期投資を始める時に注意しなければいけないこと。
それは長期投資に適した、正しいインデックスを選ぶということです。
■iShares S&P500 ETF 10年チャート
これはS&P500に連動するETFの10年チャートです。
株価が安定した上昇を続けています。時々発生している株価の下落も、少し待てば回復しています。
これが長期投資に適したインデックスの形だと思います。
S&P500のように右肩上がりのインデックスは、いつ投資しても暫く待っていれば利益を出すことができます。
このような形のインデックスは投資タイミングを選ばずに済みます。
毎月の収入の一部を長期投資に割り当てるのに適したインデックスです。
■iShares MSCI Emerging ETF 10年チャート
こちらのチャートは新興国の株式指数に投資するETFのチャートです。
株価が一定範囲内を上下しています。
これは長期投資を難しくするインデックスの形です。
何も考えずに定期的に資金を投入しても、長期にわたって利益を出し続ける可能性は低いです。
利益を出すには、株価が安い時に多く購入する等テクニカルな戦略が必要になってくると思います。
インデックス投資は右肩上がりで株価が上がっているインデックスを選ぶからこそ、リスクを抑えて確実に利益を得る投資ができます。
間違ったインデックスを選んでもリスクは抑えられません。インデックスであれば、何でもいいというわけでは無いです。
そして、現時点で最もインデックス投資に適した形をしているのは米国のインデックスです。
他の国・地域のインデックスはここまで右肩上がりとはいかず、今は米国株がインデックス投資の中心にならざるを得ません。
でも、将来はどうなるのでしょうね。
これから新興国の経済規模が大きくなるにつれて、米国優位の状態が崩れるのでしょうか?
経済規模が大きいから魅力的な投資先なのではない
そもそも、何故アメリカの株式指数は長期にわたって成長を続けられるのでしょうか。
理由は一つではないのでしょうが、企業の株主還元の高さが背景の一つにあると思います。
■米国株の総還元性向(大和証券のレポートより)
これは米国株の総還元性向の推移を示したものです。大和証券のレポートより引用させいて頂きました。
総還元性向は自社株買いと配当金の金額を純利益で割ったものです。企業の利益がどれだけ株主に還元されたかを示します。
このレポートによると、米国では2017年に57兆円の自社株買いが行われ、46兆円の配当金が株主に支払われました。
総還元性向は99.8%です。純利益のほとんどを株主に還元していることになります。
日本の総還元性向は37.8%なので、3倍近く差があります。
この株主還元力の強さが、米国株の長期上昇を下支えしているのだと思います。
例え一時的に景気が低迷して株価が下がっても、企業は配当や自社株買いと言う形で 株主に確実にリターンを与えてくれる。
その信頼性の高さが米国株の強さの源にあります。
ここまで株主重視だと一般市民から反発を招かないのか?と疑問に思ってしまいますね。
しかし、アメリカの家庭の資産の半分近くは株式のような投資商品に充てられていると言います。
企業が株主に還元することが、結局は多くのアメリカ人の利益に直結するのでしょう。
だから、企業は積極的に株主に還元しますし、政府も株価が上がるような政策を出します。その利益を期待してさらに多くの人が米国株に投資します。
このような株価の成長が維持されやすいサイクルが形成されているのが米国株なのだと思います。
世界銀行やIMF(国際通貨基金)の予測では、中国やインドのGDPは2030年までにアメリカを追い抜くようです。
だけど、GDPが追い抜かれたからと言って、米国株の株主還元力が弱まるわけではないでしょう。
経済規模が1位だろうが2位だろうが、米国企業の株主還元力の高さが維持される限りは、米国は魅力的な投資先であり続けると思います。
逆に中国やインドの株価の時価総額がアメリカを追い抜いても、株主還元力が弱ければ株価の変動が今同様に大きなものになりかねません。
それでは、長期の投資先としては不安が付きまとうのではないかと感じています。
米国の株主還元力が弱くなった時が乗り換え時?
もしかすると、株主還元力が強い市場でなければ投資家の資金が大量に流入することはないのかもしれません。
つまり、中国やインドの株価時価総額がアメリカを追い抜く時は、株主還元力も充分なものになっている可能性もあると思います。
「卵が先か、鶏が先か」みたいな話ですね。
米国株の株主還元性向が将来も安泰かも不透明です。
アメリカのバーニー・サンダース上院議員は以前、米国企業の自社株買いに規制を入れるべきだと主張していました。サンダース議員は来年の大統領選挙に立候補しています。
近い将来、米国企業の自社株買いが弱くなる可能性も無くはないと言うことでしょう。
米国株の株主還元力が弱まる時代が来るのか?
他国の株主還元力が高まり、米国株の魅力が相対的に低くなる時が来るのか?
どちらが先に来るのかは分かりませんが、その時が米国株への投資が有効とは言えなくなる時かなと思いました。
個人的に自社株買い規制案のニュースを見た時は結構気になりました。
今は米国中心に投資しているので、米国企業の総還元性向の強さは今後も注視していく必要がありそうです。
株価の時価総額だけではなく、株主還元力が強い投資先はどこなのかという点に注目してきたいです。
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個別株に投資する際は特に株主還元力に注目したいものです。
長期投資をするならインデックス投資が手間が省けておすすめですね。
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