新興国株への投資はVWOがおすすめ。メリットは配当金と買いやすさ。
「目の前の困難に耐え続けたその先に、株価急上昇の未来が待っている?」
そんなロマン溢れる(?)新興国投資は、「eMAXIS Slim新興国株式」のような投資信託より、バンガード社のETFである「VWO(バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF)」がおすすめだと思います。
これまでは外国株の購入手数料の制限のせいで、ETFの少額購入は難しいものがありました。
しかし、最近になって手数料の制限が撤廃されたことで、ETFをお手軽に買えるようになっています。
そんな今だからこそ、投資信託からVWOへの乗り換えを検討する価値があると思えます。
キーポイントは「売買のしやすさ」と「配当金」です。
25ヵ国の新興国に投資するVWO。純資産は6.6兆円。年間コストは0.12%
最初にVWOの特徴を見てみましょう。
VWOはアメリカのバンガード社が販売しているETFです。
「FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックス」という株式指数に連動するように運用されているETFです。
この株式指数は25ヵ国の新興国の大型株・中小型株で構成されています。
投資対象となる国は以下の通りです。
■VWOの投資対象国(2019.07.31時点)
VWOの投資対象国はこの25ヵ国です。アジアが多いですが、韓国が含まれないのが特徴です。
FTSEのインデックスでは韓国は先進国扱いなので、VWOには含まれていません。
一方で「eMAXIS Slim新興国株式」のような、新興国に投資する投資信託の多くには韓国が入っています。
最近の政治情勢を見て韓国への投資にリスクを感じる人もいるでしょう。
その場合は「eMAXIS Slim新興国株式」よりVWOを選んだ方が良さそうです。
■VWO 上位10ヵ国の構成比率 (2019.07.31)
これはVWOの上位10ヵ国の組入れ比率です。
中国が突出していて、次に台湾、インドが続きます。中国と台湾で全体の47%を占めます。
次にVWOが投資している企業です。
■VWO 組入れ銘柄(上位10銘柄:2019.07.31時点)
テンセント、アリババといった中国の巨大IT企業が上位です。
3位の台湾セミコンダクターは半導体の開発・製造を行っている会社です。
「テンセントやアリババに投資したい。でも中国の個別株は怖い」と思っている人もVWOを買えば間接的に投資することができます。
このような国・企業に一度に投資できるのがVWOの特徴です。
流石にバンガードのETFだけのことはあり、その純資産と運用コストは「eMAXIS Slim新興国株式」のような低コストな投資信託と比べても極めて優秀です。
まず、純資産は6.6兆円です。
「eMAXIS Slim新興国株式」の純資産は180億円なので、まさに桁違いです。
また、年間の経費率は0.12%です。
「eMAXIS Slim新興国株式」の信託報酬は0.20412%、実質的なコストは0.3%を超えており、VWOがかなりの低コストであることが分かります。
ですが、実際にかかるコストについては、VWOの方が優れているとは一概には言えません。
VWOは海外のETFなので、購入時に0.45%の手数料がかかるからです。
コスト面でVWOと投資信託のどちらが優位なのかは、購入頻度や金額によって変わりそうです。
VWOのメリットは売買のしやすさと配当金
コストに大きなメリットが無いにも関わらず、投資信託よりVWOの方が良いと思える理由は何でしょうか?
一つ目は売買のしやすさです。
■VWO株価チャート(過去10年、月足)
これはVWOの過去10年間の株価チャートです。
常に右肩上がりの波形を示す米国株と違い、新興国株は一定のレンジを行ったり来たりしています。
このような値動きをする新興国株で利益を出すには、株価が安い時に買い、株価が高い時に売ってリバランスすることが必要になります。
そのためにも、できるだけ自分の希望するタイミングで売買できた方がよいでしょう。
投資信託の場合は、申し込みから約定完了するまでに2営業日はかかります。自分の好きな時に売買することは難しいです。
対照的にVWOはETFなので、株式と同じようにリアルタイムで売買できます。
自分が安いと思った時に買うことができます。
加えて新興国株は値動きが激しいので、許容範囲外の損失を出さないために損切が必要になることもあるでしょう。
この点においても、好きなタイミングで売買できるETFの方が安心感があると思います。
証券会社によっては逆指値を設定できるところもあります。
「40ドルまで下がったら10株売却」といったように設定しておけば、自動的に損切りをすることもできますね。
株価の変動が激しい新興国株は、好きな時に売買ができるETFの方が相性が良い。
これが投資信託よりVWOが良いと思える理由の一つです。
VWOの方が良いと思う、もう一つの理由は配当金です。
VWOはETFなので配当金が出ます。
年に4回(3月、6月、9月、12月)支払われます。
現在の配当利回りは2.84%と悪くない利回りです。
株価が下がっているからということもありますが。。。
「eMAXIS Slim新興国株式」のような投資信託の場合、配当金は自動的に再投資されてしまうので、私たちが意識することはありませんし、自由に使うことはできません。
しかし、VWOの方は配当金が現金として支払われます。
先のチャートが示す通り、新興国株は適当なタイミングで株を購入しても利益が出る可能性は低いです。
それなら、わずかな配当金でも再投資するタイミングは自分で考えたいものです。
配当金を現金でもらえれば、投資したいと思える時まで現金で寝かしておくこともできますし、なんならVTIやVOOといった米国株のETFに充てるという選択肢もあります。
配当金の使い道を自分で選べるメリットは大きいと思います。
それに配当金は長期投資のモチベーションにもつながると思います。
新興国株は株価が大きく下落することも多いです。
その下落に耐えられず、新興国投資を辞めてしまった人も多いでしょう。
ですが、年に4回現金を貰えることを心の支えにすれば、その下落に耐えて次の上昇機会を待ち続られる可能性が高まるのではないでしょうか?
私はずっと「SBI・新興国株式インデックスファンド」で新興国株投資を行っていましたが、配当金がほしかったのでVWOに買い替えました。
何故、最初からVWOにしなかったかと言うと、これまでは米国株の購入に最低5ドルの手数料が必要という制限があったためです。
手数料の最低額が5ドルだと、一度にVWOを10万円以上買わないと手数料負けする状態でした。
しかし、小心者な私には新興国株を一度に10万円以上買うのは、なかなか勇気が要ることです。
そんな理由で少額取引が可能な投資信託で新興国投資を行っていたのですが、7月に米国株の手数料制限が撤廃されました。
これで手数料制限を心配することなくVWOを買える環境ができたというものです。
なので、先日「SBI・新興国株式インデックスファンド」を全解約してVWOに買い替えたところです。
「SBI・新興国株式インデックスファンド」は含み損状態だったので、解約しても税金も手数料もかかりません。買い替えには丁度良いタイミングでした。
「eMAXIS Slim新興国株式」を買っている人にも含み損状態の人は多くいるでしょう。
これを機にVWOに乗り換える価値はあるんじゃないかなと思います。
他の記事の紹介です。
購入手数料や配当金再投資の手間が無い投資信託の方が良いと思う人もたくさんいるでしょう。
新興国に投資する投資信託では「SBI・新興国株式インデックスファンド」がお勧めです。
VWO同様、韓国が投資対象には含まれず、「eMAXIS Slim新興国株式」よりバランスがいいと思います。
配当金は株価下落への耐性を強めてくれる存在だと思っています。VWOの配当金で新興国株の下落に耐えたいものです。
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