インドの高収益企業に投資するEPIはどんなETF? その魅力とリスクを探る
これからも経済成長が続く国はどこ?
世界経済の中心、アメリカ。アメリカに代わって覇権を狙う中国。20年以上も経済成長が続くオーストラリア。
それらの国と並んで必ず名前が上がるのが『インド』です。
インドは世界銀行やIMF(国際通貨基金)が発表する経済成長率の見通しで、最も高い成長が予想されています。
そんなインドに少し投資してみたくなりませんか?
『ウィズダムツリー インド株収益ファンド』(略称:EPI)はインドの高収益企業に投資するETFです。
ここではEPIのポートフォリオやパフォーマンス、投資の際の注意点を掲載します。
- 投資先として魅力的なインド市場
- EPIは魅力的なインドの高収益企業に投資するETF
- EPIのポートフォリオ
- EPIはSBI証券で買える。経費や配当利回りは?
- EPIの株価チャート
- インドに投資するETF EPIのリスク
- EPIに投資するなら、他の国にも分散投資を
投資先として魅力的なインド市場
EPIの前に、インド市場の魅力についてです。
インドは世界で最も高い経済成長が期待されている国の一つです。
【世界経済成長率(実質GDP成長率)】(単位%)
この表は2018年1月に世界銀行が発表した、世界経済の成長率の予測です。
アメリカや中国の成長率が減速傾向と予想されているのに対し、インドは2019年以降も7.5%の成長が続くと予想されています。
インドはこれからも人口が増加し続けます。
人口の年齢構成を見ても、現役世代の割合が高い状態が2040年頃まで続くとされており、豊富な労働力や活発な消費が経済成長を後押しすると期待されます。
優秀な人材を多く輩出しているところも、投資意欲をかきたてます。
マイクロソフトのサティア・ナデラCEO、Googleのサンダー・ピチャイCEO、Pepsicoの元CEOであるインドラ・ヌーイ氏等、アメリカの巨大企業のTOPをインド出身の人が務めることも珍しくなくなりました。
これから巨大化する市場に、優秀な人材を輩出する環境。
そんなインドへの投資に期待を持つな、と言われても無理ってものです。
EPIは魅力的なインドの高収益企業に投資するETF
将来の期待大のインド市場。
インドに投資する投資信託やETFは幾つかありますが、ここで紹介する『ウィズダムツリー インド株収益ファンド(EPI)』は、インドの高収益企業に投資するETFです。
このEPIは「Wisdom Tree Invesments」という、アメリカの会社が提供するETFです。
ETFやインデックス型の投資信託は、株式の時価総額に沿って組入れ比率を決める場合が多いですが、このEPIは違います。
EPIはインド企業の中で、高収益かつ外国人投資家が投資するのに適している企業の比率が高くなるように設計しています。
具体的には、前年度の企業の純利益を指標として、高収益企業を選んでいます。
そこに他の指標を加味して、外国人投資家に適した企業の比率を上げているとのことです。
株式の時価総額順の場合は、人気先行な企業の比率が高くなってしまう恐れがあります。
純利益を指標の一つとすることで、稼ぐ実力のある企業に重点的に投資することができるというコンセプトです。
EPIのポートフォリオ
では、EPIで投資するインド企業を見てみましょう。
EPIは345社のインド企業で構成されます。
次の表はその中の上位10社です。
【EPI 上位10企業】
インドというとIT企業というイメージがあったのですが、EPIの上位企業にはエネルギー関連の会社が多いです。
1位のリライアンス・インダストリーズはインドで最大の民間会社で、石油・ガス開発が主要事業です。他にも小売業や半導体事業等、様々な事業を展開するコングロマリット企業です。
2位のHDFCはインドの金融関連会社で、住宅ローンが主力の会社です。
3位のインフォシスは世界でも有数のITコンサルティング企業です。世界中で事業を展開しており、売上は100万ドル以上、従業員数は20万人を超えます。
4位のタタ・コンサルタンシー・サービシズも世界で事業を展開するITコンサルティング企業です。世界46ヵ国にオフィスを構えています。
3位のインフォシス、4位のタタ・コンサルタンシー・サービシズのように、インド国外でも利益をあげる企業があるのは大きいですね。
海外からの投資が、集まりやすくなるでしょう。
注意したいのは、先に挙げた1位から3位の企業で20%以上を占める点です。
EPIはインド全体に投資していると言っても、「リライアンス・インダストリーズ」「HDFC」「インフォシス」の株価に大きく影響を受けます。
EPIはSBI証券で買える。経費や配当利回りは?
EPIはニューヨーク証券取引所に上場しています。
日本のネット証券会社であれば、外国株口座を持っていれば買えるでしょう。
私はSBI証券を使っていますが、SBI証券でも外国株口座でEPIを買えます。
EPIはETFなので、外国株の購入手数料とは別に、管理費用が年間コストとしてかかります。
この年間コストは0.84%です。
新興国のせいか、高いですね。
EPIは一応、配当金も出ます。
配当利回りは0.46%です。
少な。。。
国全体がグロース株のようなものです。配当には期待しないようにしましょう。
EPIの株価チャート
高い経済成長が期待されるインド。その中でも高収益企業に投資するEPIですが、実際に株価は上がっているのでしょうか。
EPIと世界全体に投資するETFであるVT、新興国全体に投資するVWOのチャートを比較しました。
【EPI,VT,VWO 5年チャート】
青色がEPI、その下の黄緑色がVT、赤色がVWOです。
過去5年間を見ると、EPIは新興国に投資するVWOはもちろん、世界全体に投資するVTより、高いパフォーマンスを発揮しています。
これだけ見ると
「お!インド、いいね~」
と思ってしまいます。
ただし、2019年はかなり低迷しています。
【EPI,VT,VWO 2019年のチャート】
一番上の緑色がVT、赤色がVWOです。
そして、遥か下にある青色のチャートがEPIです。
世界中で株価が上がっている2019年。EPIは仲間外れです。
インドは2019年の春に総選挙が控えており、現在の経済政策を推し進めている与党が苦戦するかもしれないと言われています。
今まで株価が堅調に上がっていたこともあり、選挙の結果が出るまでは株価が上がりにくいのかもしれません。
インドに投資するETF EPIのリスク
最近の株価は低迷気味なインドですが、これからも労働力の増加、消費の活発化が続くことを考えると、魅力的な投資先に見えます。
個人的には、他の新興国と比べると、ITサービスに強い国という点に魅力を感じます。
単に人口増加による国内消費が活発になるだけでなく、外国に売れるサービスや商品を多く提供することで、インド企業の価値がさらに上がると思うからです。
では、そのインド企業に投資するEPIにリスクはないのでしょうか?
無いわけはないですね。新興国ですし。
どんなリスクがあるのか、考えてみました。
①投資銘柄が充分に分散できていない
これは先にも書きましたが、EPIの上位3社で20%以上を占めます。
ETFに期待する分散効果が低いと思います。
この3社が総崩れしたら、EPIのホルダーは涙目でしょう。
私もホルダーなので、泣いてしまいます。。。
②エネルギー関連企業が多い
EPIを構成する企業で最も多いのが金融、その次がエネルギー関連の企業です。
エネルギー関連企業の割合は全体の19%程度です。
エネルギー関連企業は原油の価格によって、業績が大きく変動する印象があります。
原油価格が上がれば、精製した石油の価格も高くできるので、エネルギー関連企業の利益は上がります。
しかし、インドは原油を殆ど輸出に頼っています。そのため、原油価格の高騰はインド経済全体には悪影響を与えます。
原油の価格が下がるとインド全体にとっては嬉しい。
でも、EPIの20%を占めるエネルギー関連企業の業績は下がる。
そんな痛し痒しの状況にならないでしょうか。
③増加する人口を労働力に転換できるか
これはEPIのリスクではなく、インドのリスクです。
インドは上下水道等のインフラ設備が遅れていて、幼くして命を失ってしまうケースも多いようです。
インフラ整備を進めて国民生活のレベルを向上させないと、せっかく人口が増加しても、労働力の増加や消費の活発化につなげることはできないです。
この辺は日本やアメリカ等、先進国も支援してほしいですね。
インド市場が発展しないと、他の国も困ると思いますし。
こんなところが、EPIでインド投資を行う場合のリスクかなと思いました。
EPIに投資するなら、他の国にも分散投資を
爆発的な人口増加。優秀な人材の輩出。海外でも利益を出せる企業。
EPIはこれからの成長が期待されるインドの企業に、簡単に投資できるETFです。
インド経済の将来の魅力を考えると、購入を検討する価値のあるETFだと思います。
ただし、インド企業の株価がこの先も順調に伸びていくとは限りません。
それにEPI自体も、分散効果が高くないETFと考えられます。
その点を考慮すると、EPIに大金を投資するのはリスクが高いです。
「新興国はインド一択!他の国に投資する価値なんか無い無い。」
なんて、調子の良いことを言っていると、それを尻目に他の新興国の株価がするする~と上がっていくという、悲しい事態を招きかねません。
EPIに投資をするのであれば、他の国に投資するETFやインデックスファンドと併せて購入するのがいいと思います。
アメリカを始めとする先進国や新興国全体に投資するインデックスファンドを購入し、そこにEPIを投資先として加える。
こうしてインドへの投資比率を少し高くして、インドの無限の可能性に期待してみる。
EPIはそんな風に使うことができるETFではないかなと思いました。
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私はSBI新興国株式インデックスファンドを購入しています。
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