iFreeS&P500はeMAXIS Slim米国株式(S&P500)と楽天VTIに対抗できるのか?
「iFree S&P500インデックス」が販売されたのは2017年8月。
当時は米国のS&P500に連動するインデックスファンドが珍しかったことから、歓迎の声が大きかった記憶があります。
時は流れて現在。「iFree S&P500」の存在感は急速に失われつつあります。
後発組の「楽天・全米株式インデックス(楽天VTI)」、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」にその人気を奪われてしまったためです。
なぜ「iFree S&P500」は人気者になれなかったのでしょうか?
その特徴から人気低迷の理由、さらには人気回復のために何が必要かを考えてみました。
。。。余計なお世話?
- iFree S&P500の資金流入額の減少が続く
- iFree S&P500の実質コストをeMAXIS Slim 米国株式、楽天VTIと比較
- iFree S&P500の組入れ銘柄1位はETF
- iFree S&P500が勝つには独自色を出すしかない?
iFree S&P500の資金流入額の減少が続く
「iFree S&P500」の人気下降を示すデータとして、資金流入額の推移があります。
■iFree S&P500 月次資金流入額の推移
販売当初は順調に流入資金が増えていましたが、2017年後半から伸び悩んでいます。2019年の1月に至っては資金が流出してしまいました。
「iFree S&P500」の資金流入が伸び悩む理由は、他のインデックスファンドに人気を取られているからだと思います。
それは「楽天・全米株式(楽天VTI)」と「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」です。
2017年10月に米国全体に投資する「楽天・全米株式(楽天VTI)」が、2018年7月には「iFree S&P500」と同じS&P500に連動する「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が販売されました。
どちらも「iFree S&P500」より低コストであることから、人気を奪う形になったのだと思います。
両ファンドの月次資金流入額を見てみましょう。
■楽天・全米株式(楽天VTI) 月次資金流入額の推移
■eMAXIS Slim米国株式(S&P500)月次資金流入額の推移
「iFree S&P500」の資金が流出した2019年1月も、「楽天VTI」と「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は順調に資産を増やしています。
特に「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の誕生はiFreeにとって痛恨の一撃だったと思います。
「楽天VTI」と「iFree S&P500」は採用指数が異なります。
少しばかりコスト面で「楽天VTI」に負けてしまっても、「S&P500に投資可能なインデックスファンド」として存在意義を保つことができたでしょう。
しかし、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と「iFree S&P500」は採用指数が同じです。
採用指数が同じなら、誰もが低コストな方を選びます。コスト面で優位に立つことができなければ、その存在意義を失いかねません。
iFree S&P500の実質コストをeMAXIS Slim 米国株式、楽天VTIと比較
では「iFree S&P500」の実質コストはどの程度なのでしょうか。
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」、「楽天VTI」と比較してみました。
■信託報酬と実質コストの比較
信託報酬は「iFree S&P500」が最も高いです。人気が奪われるのは当然でしょうか。
実質コストも0.37%と「楽天VTI」の0.30%を上回ってしまいました。
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の実質コストはまだ発表されていませんが、低コストが売りのeMAXIS Slimシリーズです。「iFree S&P500」の実質コストを下回ってくる可能性が大です。
同じ指数を採用しているインデックスファンドは、コストを可能な限り低くして値動きを指数に近づけた方に軍配があがります。
「iFree S&P500」が「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」に勝つには、実質コストを下げる以外に道はありません。
なかなか厳しい道のりですね。
iFree S&P500の組入れ銘柄1位はETF
「iFree S&P500」の人気が出ない理由はコスト面以外に、組入れ銘柄の特徴があると思います。
■iFree S&P500 上位10銘柄(2019年3月時点)
iFree S&P500の月次レポートより引用
これはiFree S&P500の上位10銘柄です。
1位はマイクロソフトやAppleのような個別株ではなく、「iShares Core S&P500 ETF(IVV)」という BlackRock社が販売しているETFです。
しかも、全体の20%を占めています。
ETFを組み入れるとETF自身の年間コストもかかるので、コスト面で不利になってしまう気がします。
それともETFを買った方が運用の手間がかからないんですかね?
であれば、「中途半端に個別株(現物)を持たずに、全部ETFにしちゃえば?」とか思ってしまいます。
「楽天VTI」はバンガード社のETFであるVTIだけを買うファンドです。
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」はほぼ現物への投資です。
それに対して「iFree S&P500」はETFと現物をミックスするという、中途半端な投資方法になっています。
これも人気に差が付く理由の一つではないかな~と、なんとなく思いました。
iFree S&P500が勝つには独自色を出すしかない?
コスト面で他のファンドに後れを取り、投資対象も何だか中途半端なものになっている「iFree S&P500」。ライバルに少しでも迫るには何が必要なのでしょうか?
もちろん、信託報酬を引き下げて最低水準のコストを達成できれば、人気を奪うことができるでしょう。でも、eMAXIS Slimシリーズにコスト競争で勝つのはハードルが高い気がします。
なら、コスト以外の面で独自色を出すしかない!!
例えば、
(1)いっそのこと「iShares Core S&P500 ETF(IVV)」だけに投資する。
楽天・VTIに対抗して、iFree・ IVVに転身?する案です。
IVVに少額から投資できる投資信託の方が、今より魅力的な気がします。
ETFだけに投資した方が、運用コストを下げれるかも?
(2)思い切って分配金(配当金)を出してみる。
インデックスファンドは 株式の配当金を分配金として出さずに、株式に再投資してリターンを最大化するのが良いものと言われています。
分配金を出すインデックスファンドはダメなファンドとされがちです。
でも、個別株をやっている人はわかると思いますが、配当金を定期的に貰えるのはうれしいものです。株価が急落した時に長期保有を続けるモチベーションにもつながります。
四半期に1回、株式の配当金を分配金として出してくれるインデックスファンドがあれば、他と差別化できて人気が出たりしないですかね?
と、無責任に適当なことを挙げてみました。
どっちも実現性は低そうですね。
やっぱり「iFree S&P500」が生き残るにはコスト勝負しかないのでしょうか。。。
S&P500に連動するインデックスファンドがeMAXIS Slimだけというのは寂しいものです。
ライバルがいるからこそ、コストや運用面で競争が生まれて、ファンドの品質の向上に繋がることもあると思いますから。
先進国に投資する「eMAXIS Slim先進国株式」と「ニッセイ外国株式」はそれに近い関係なのではないでしょうか。
「iFree S&P500」も「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」のライバルになれるよう、変革の一手を打ってもらいたいものです。
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