eMAXIS Slim先進国がニッセイ外国株式の人気を上回る。乗換えは必要か?
「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」と「ニッセイ外国株式インデックス」。
インデックスファンドの低コスト競争を主導してきた両者ですが、人気に差がついてきたようです。
今年に入ってから「eMAXIS Slim先進国株式」が人気の面で「ニッセイ外国株式」を上回っています。
では、「ニッセイ外国株式」から「eMAXIS Slim先進国株式」に乗り換えるべきでしょうか?
個人的にはその必要は無いと思っています。
インデックスファンドで重要なのは人気ではなく、ベンチマークからの乖離率だからです。
eMAXIS Slim先進国の資金流入がニッセイ外国株式を大きく上回る
ところでインデックスファンドの人気って何を基準にすればよいのでしょう?
大きな指標となるのは資金流入額です。どれだけ多くの人が、そのファンドを購入したかの目安になります。
この資金流入額において、「eMAXIS Slim先進国株式」が「ニッセイ外国株式」に差をつけるようになってきました。
両者の月次資金流入額の推移を見てみます。
■eMAXIS Slim先進国 月次資金流入額
■ニッセイ外国株式 月次資金流入額
2019年1月は両ファンドとも資金流入額は30億円程度と、大きな差はありませんでした。
しかし、2月以降は「eMAXIS Slim先進国株式」が20億円の資金流入に対し、「ニッセイ外国株式」は10億円程度と、差が開いてきました。
現在のところ、2ヶ月連続でこの状態が続いていますね。
2月以降に差がついた要因は次の2点でしょうか。
・1月に発表された「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」で「eMAXIS Slim先進国株式」が1位になった。
・1月に発表された「ニッセイ外国株式」の運用報告書で、実質コストが「eMAXIS Slim先進国」を下回らなかった。
この2つが1月に発表されたので、2月以降の資金流入に差がついたのかな?と思いました。
2点目の実質コストはインデックスファンドの成績に影響します。ここに差がついたら人気差も開くのは納得です。
1月に発表された運用報告書のデータから計算すると「ニッセイ外国株式」の実質コストは0.2052%です。
「eMAXIS Slim先進国株式」は0.19711%なので、僅差ですが「eMAXIS Slim先進国株式」の方が低コストです。
参考記事: ニッセイ外国株式とニッセイ新興国株式の実質コスト 驚きの結果に
でも、人気に差が付いたのは1点目の「Fund of the Year 2018」の結果が影響している気がしますね。細かな実質コストより宣伝効果が大きい気がしますし。
私は2015年末に「ニッセイ外国株式」でインデックス投資を始めました。米国株・ETFが投資の中心となった今も、つみたてNISAで積み立てを継続しています。
投資を始めてからずっと購入している「ニッセイ外国株式」がeMAXIS Slimに負けていると思うと、何だか悲しい。。。
投資信託を乗り換える基準はベンチマークからの乖離率
では「ニッセイ外国株式」の積み立てをやめて「eMAXIS Slim先進国株式」に乗り換えるべきでしょうか?
私はまだ乗り換えようと思いません。
「ニッセイ外国株式」と「eMAXIS Slim先進国株式」は、どちらもMSCI Kokusai Indexという先進国の株式指数を採用しています。同じ指数を採用しているので、成績に差は付きにくいです。
このような同じ指数のインデックスファンドを乗り換える際の判断基準は、次の2点にあると思っています。
(1)純資産が増えない
(2)ベンチマークからの乖離率が大きい
まず(1)の純資産についてです。
インデックスファンドの純資産が少なすぎると、安定した運用がしづらくなります。最悪の場合、繰り上げ償還されてしまう可能性もあります。
これについては「ニッセイ外国株式」は心配はありません。
現在の純資産は約1,200億円です。他のインデックスファンドを圧倒しています。
直近の人気は「eMAXIS Slim先進国株式」に負けているとはいえ、「ニッセイ外国株式」も資金が流出しているわけではないので、現時点では心配無用です。
もし、純資産が流出し始めたら要注意かもしれませんが。
次に(2)のベンチマークからの乖離率です。
インデックスファンドは、ベンチマークとする採用指数のパフォーマンスにどれだけ近づけるかが重要です。でないと「インデックスファンド」である意味がないです。
コストが大きいファンドはベンチマークからの乖離も大きくなるはずです。だから、インデックスファンドは低コストであることが重要なのです。
もし、ファンドの成績がベンチマークから乖離して利回りが少し良くなると、嬉しいかもしれません。
でも、それはインデックスファンドとしての運用能力が低いということです。
そのようなファンドは、逆にベンチマークから乖離して利回りが低下する可能性も増えてくるので注意が必要です。
では、「ニッセイ外国株式」と「eMAXIS Slim先進国株式」は、ベンチマークから乖離しているのでしょうか?
両者の月次レポートからチェックしてみました。
■各ファンドの基準価格の騰落率
「ニッセイ外国株式」と「eMAXIS Slim先進国株式」、両者のベンチマークであるMSCI Kokusai Indexの配当込み・円ベースの騰落率です。
1年間の結果では「eMAXIS Slim先進国株式の利回りが0.1%高いですね。でも、これを見て「eMAXIS Slim先進国株式」の方が良いと考えてはいけないです。
そもそも、インデックスファンドはコストがある分、ベンチマークより利回りが高くなることはないからです。
この0.1%程度は誤差の範囲だと思いますが、さらに大きくベンチマークを超えてしまった場合は要注意です。
全体的にはどちらもベンチマークから大きく乖離していないようですね。
「ニッセイ外国株式」も優秀なインデックスファンドであることが分かります。
直近の人気が「eMAXIS Slim先進国株式」に劣っているからと言って、乗り換える必要は全くないです。
このベンチマークからの乖離が大きくなったら、乗り換えを検討するべきでしょう。
でも、それは「eMAXIS Slim先進国株式」に投資している場合も同様です。
実質コストが他のファンドより安くても、ベンチマークから大きく乖離するような運用では、インデックスファンドに期待しているパフォーマンスが出せなくなりますから。
ちなみに「eMAXIS Slim先進国株式」の月次レポートや運用報告書では、ベンチマークとの差を比較するのに、配当金を含まないMSCI Kokusai Indexを用いています。
だから、「eMAXIS Slim先進国株式」の月次レポートでは、インデックスよりパフォーマンスが良いファンドのように見えてしまうので、注意が必要です。
■eMAXIS Slim先進国株式の基準価格推移
eMAXIS Slim先進国株式の月次レポートより引用
運用報告書を見ると、
「eMAXIS Slim先進国株式」の分配金を再投資するかは、利用者が決めること。再投資しないこともあるので、配当金を含まない指数をベンチマークとして載せている。
ということのようです。
でも、そもそも分配金を出す可能性なんて低いですよね。
ファンド内で配当金を再投資するはずなので、ベンチマークも配当込みの方が分かりやすいと思うんですけどね。
こういうのも、ファンドの成績を良く見せるための戦略に見えてしまうのは「ニッセイ外国株式」派のひがみだろうか。。。
「ニッセイ外国株式」が「eMAXIS Slim先進国株式」から人気を奪取するには、コストをもっと下げるか、「eMAXIS Slim先進国株式」の実質コストが悪化する、つまり自滅待ちくらいしかないと思います。
ですが、インデックスファンドで大切なのはベンチマークにどれだけ近づけるかです。
コスト争いだけでなく、ベンチマークから乖離していないかをチェックしていきたいです。
他の記事の紹介です。
他の先進国に投資するインデックスファンドの実質コスト、純資産、利回りを比較した記事です。
投資信託も良いですけど、ETFも投資していて楽しいです。
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