おんつじの資産育成記~投資信託と米国株で楽にお金を育てる

インデックス投資と米国株の記録。流れに身を任せてお金を増やす。

eMAXIS Slim米国株式より楽天・全米株式(楽天VTI)を推したい理由

「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」「楽天・全米株式インデックスファンド(楽天VTI)」

どちらもアメリカの株式に投資するインデックスファンドです。

その共通点のせいか、どちらが優れているファンドか良く比較される傾向にあります。

 

インデックスファンドにおいて、最重視されるコスト面においては「eMAXIS Slim米国株式」の方に優位性があります。

事実、2019年7月1日に発表された「eMAXIS Slim米国株式」の交付運用報告書では、実質コストがかなりの低コストであることが分かりました。

恐らく、楽天VTIがコスト面で「eMAXIS Slim米国株式」に勝つ可能性は低いでしょう。

 

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だけど、それでも私は楽天VTIの方を推していきたいです。

コスト以外の面でVTIの方が魅力的と思えたからです。

 

楽天VTIとeMAXIS Slim米国株式(S&P500)を実質コストだけで比較してはいけない

2019年7月1日に交付された運用報告書をもとに計算すると、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の実質コストは約0.25%とかなりの低コストでした。

それに対し、2018年7月に発表された楽天VTIの実質コストは約0.3%です。

 

「これならeMAXIS Slim米国株式一択だ!?」

 

もし、この2つのファンドの採用指数が同じものであれば、有無を言わさず『Yes』でしょう。

 

例えば、同じ「MSCIコクサイ・インデックス」を採用指数とする「eMAXIS Slim先進国株式」と「ニッセイ外国株式」であれば、実質コストが小さい方を選ぶべきです。

インデックスファンドは採用指数が同じなら、株価の値動きはほぼ同じ。

後は運用コストの差で優劣が決まるからです。

 

しかし、「楽天VTI」と 「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」はこのケースには当てはまりません。

採用指数が違うからです。

 

「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」はその名の通り、S&P500を採用指数とするインデックスファンドです。

それに対し、 「楽天VTI」はバンガード社のETFである『VTI』に投資するファンドです。

 

私たちは実質コストの優劣を見る前に考える必要があります。

「VTI」と「S&P500」。自分にとってどちらが魅力的なのかということを。

VTIとS&P500のパフォーマンスに差をもたらす小型株

S&P500とVTIはアメリカの株式で構成されることは同じでも、投資範囲が異なります。

 

「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の採用指数であるS&P500は、アメリカの大型株500銘柄で構成されます。

一方でVTIは小型株を含む約3,600銘柄で構成されます。

 

S&P500はアメリカの株式時価総額の75%を占めるのに対して、VTIは99%です。

VTIはアメリカの株式のほぼ全てをカバーします。

 

 では、VTIとS&P500のパフォーマンスに違いはあるのでしょうか?

 

■VTIとS&P500 株価チャート(2001年~2019年)

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これはVTIとS&P500の株価チャートを2001年から比較したものです。

赤色がS&P500。青色がVTIです。

VTIは170%の上昇に対し、S&P500は143%の上昇。18年間で20%程度の差がついていますね。

 

特に差がついているのは、2009年のリーマンショックからの回復時期です。この時期にVTIがS&P500を引き離しています。

この差をもたらすのは、VTIの10%を占める小型株です。

 

小型株は経済が好調な時、爆発的な伸びを見せます。

小型株に投資するETF 「iShares Core S&P Small-Cap ETF (IJR)」とS&P500を比較してみましょう。

 

■IJRとS&P500 株価チャート(2001年~2019年)

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青色が小型株、赤色がS&P500です。

長期で見ると小型株がS&P500を圧倒していますね。18年間でS&P500の2倍以上の上昇率です。

 

VTIはこの小型株の上昇効果を取り込むことができます。

リーマンショックのような景気が落ち込んだ時期から回復する際に、株価が大きく上がることが期待できます

 

チャートを見ても分かる通り、小型株は下がる時はS&P500より大きく下がってしまうのが難点ですが、VTIに含まれる小型株は10%程度です。

VTIならリスクを抑えながら小型株効果を得ることができるでしょう。

 

一方でS&P500は大型株のみで構成され、小型株が入ってくることは無いです。S&P500では小型株効果は得られません。

 

私は長期で投資することを考えた際、大型株のみで構成されるS&P500より小型株の恩恵を受けられるVTIの方が魅力的に映りました。

 

楽天VTIとeMAXIS Slim米国株式(S&P500)。コスト差以外の要因で選びたい。

いつか来るであろう株価の低迷期。

そこで楽天VTIを淡々と積み立てていけば、その低迷期から回復する時にS&P500より大きく上昇するのではないか?

そんな期待を抱いて、私は楽天VTIを積み立てています。

 

でも、このメリットはデメリットと表裏一体です。

楽天VTIは小型株を含むが故に、景気後退期にはS&P500より株価の下落が大きくなる可能性があります。

その時、下落に耐えきれずに手放してしまったら元も子もありません。

 

それに対し「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は大型株のみで構成されているので、楽天VTIより安定感があるはずです。

しかも、S&P500は黒字企業しか採用されない等、超優良な500社の集合体です。

故に株価の急落時も安心して持っていられるという意見もあるでしょう。

 

このように「楽天VTI」と「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」には、それぞれの良さがあります。

この違いは、年間0.1%程度のコスト差よりも重視されてよいと思います。

 

 「楽天VTI」と「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の成績は、10年、20年という長期で見れば、コスト差以外が要因で優劣が決まるでしょう。

「楽天VTI」の小型株効果と「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の安定感。 

どちらに期待が持てるのか、どちらが自分の投資スタイルに合っているかをよく考えて選びたいものです。

 

他の記事の紹介です。

eMAXIS Slim米国株式の実質コストは低コストでした。楽天VTIの第2期の実質コストにも注目です。


eMAXIS Slim米国株式と楽天VTIのポートフォリオ、パフォーマンスをまとめた記事です。

 

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