おんつじの資産育成記~投資信託と米国株で楽にお金を育てる

インデックス投資と米国株の記録。流れに身を任せてお金を増やす。

新興国への投資を学ぶ インドの経済成長の鍵を握るトイレ問題

新興国に投資する人でインドに期待する人は多いと思います。

 

  • 2030年までには中国を抜いて人口が世界1位になる。
  • 中国と比べて若年層が多いので、労働力が増加する
  • IMFの世界経済見通しでは2019年にGDP成長率が中国を追い抜く
  • 国をあげてITに力をいれており、バンガロールに世界中のIT企業が多く集まる。
  • マイクロソフト、GoogleのCEOもインド出身等、優秀な人材を多く生み出す

等々、魅力的な理由をあげればきりがありません。

 

私も新興国に投資するインデックス投信以外にもインド市場に投資するETFであるEPI(ウィズダムツリー インド株収益ファンド)を買っています。

 ですが、(微々たる額ですが)投資はしているけれどインドという国はよく知りません。

それでは味気ないので、時間を見つけて少し調べたりしています。そんな中で個人的に印象深かった記事を紹介します。

 

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インドを悩ますトイレ問題

経済成長の著しさだけに目を奪われると意外ですが、インドでは毎年多くの子供が栄養失調で亡くなっています。その原因の大きな一端を担うのがトイレ問題です。

インドは元々家庭のトイレ普及率が低く、トイレは野外で済ましていた場合が多いようです。

畑や水場の近くでトイレをするので、農作物や水に細菌が混入します。この食べ物や水を経口摂取してしまい、子供の成長が阻害される慢性的な感染症や下痢にかかりやすくなります。

毎年30万人以上が下痢で無くなっているとの情報もあります。

 

こういった衛生問題のみならず、野外でトイレを済まそうとした女性が犯罪にあってしまうケースもあり、犯罪率の増加にも繋がっているようです。

さすがにバンガロール等の都市部は違うと思いますが、農村部ではまだ改善されていないのでしょう。

 

日本に住んでいる私達には想像できない内容ですが、野外トイレ問題はインドだけでなく他の新興国にも見られる問題のようです。

モディ首相が掲げる「クリーン・インディア」でトイレを設置

インド政府も対策を取ってきました。

 

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インドのモディ首相です。2014年5月にインドの首相に就任して多くの改革を実行に移しています。日本では「モディノミクス」とか言われています。

モディ首相の掲げる公約に「クリーン・インディア」というキャッチコピーがあります。

この中で

「5年間で1億1,000万カ所トイレを設置」

「2019年までに屋外排泄ゼロ」

を公約としています。

1家庭当たり12,000ルピー(2万円)を補助して家庭内へのトイレ設置を促進してきました。

 

何やらビジネスチャンスの臭いがしますが、日本企業もTOTOやLIXILグループが簡易トイレシステムを供給しています。

 

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LIXILのホームページより引用 

 

モディ首相は選挙運動中に「寺院よりトイレだ」というスローガンを頻繁に使っていたようです。宗教より衛生が大切ってことですね。

2019年まであと1年です。公約は実現されるのでしょうか。

 

トイレを設置しても使われない問題

モディ首相の政策が功を奏したのか、屋内のトイレ設置率は40%未満から80%以上に上がったようです。しかし、トイレがあっても使われないケースも多々あるようで、改善にはつながっていないという報告もあります。

 

何で使われないのかというと、

・汲み取り式のトイレの掃除に抵抗がある。ヒンズー教のカースト制度では排泄物の処理は最下層の人の仕事との意識がある。

・ヒンズー教では「不浄なものは外へ」との考えがある。 

 

といった要因があるのではと言われています。

 

これも日本人には馴染みのない感覚。

こうなってしまうと難しそうに感じますね。お金や物が足りないだけならともかく、文化・宗教が原因に横たわっていると解決には時間がかかるように思えます。

 

それに、インドは上下水道が整備されていないので、水洗トイレはすぐには設置できないのでしょう。水道等のインフラ整備もこの問題解決に必要なのだと思います。

 

「どっかの先進国が水道インフラ作ってくれ。ビジネスチャンスだろ。」

と思ってしまいますが、インドの農村部は水道にお金を払うという意識がなく、元手が取れないという話も。これも難しい。。。

 

経済成長を阻む衛生問題の解決には教育が大切? 

世界銀行は衛生環境の未整備でインドが負担するコストはGDPの約6.3%に相当すると試算しています。なので、トイレ問題はインドの経済成長を阻む大きな要因です。

 

今のままでは改善が難しいのでしょうか?

インドの隣国のバングラデシュは1990年に34%だった屋外排泄を、2015年には1%に減らしたようです。減らせた要因は啓蒙活動のようです。エコノミスト誌はインドも設備を立てるだけでなく、教育・啓蒙が必要だと訴えています。

とは言え、相手にする人口がインドとバングラデシュでは違いすぎるので、やっぱり完全に改善するには時間がかかりそうです。

 

経済成長を果たしたインドはどんな姿だろう

この辺の問題、恐らく都市部では目立たないのでしょう。インドを始めとして新興国は経済格差が大きいイメージがあります。

とあるコンサルティング会社の予測だと2050年にはインドは米国を抜いて世界第2位の経済大国になるそうです(1位は中国)。

その時に衛生問題が完全に改善されているのか。それとも一部の人達は経済成長の恩恵を受けれず、現在と大して変わらない生活を送っているのか気になってしまいます。

 

恐らく、これを改善することが経済大国になる条件なのだと思います。

このコンサルティング会社もレポートの中で

「教育に投資して若い人の雇用を作り出し続けることができれば、世界2位の経済大国になるだろう」

といったニュアンスで記載しています。

子供たちを衛生問題から救って教育機会を与えて労働力を増やす。

それによって人口爆発を経済の力に結び付けられるかが経済発展の鍵なのでしょうね。

 

日本を始めとした先進国も衛生改善につながるインフラ支援をもっとしてほしいなと思いました。インド等の新興国が発展すれば、結果的に自分たちの市場を広げることにもつながると思いますしね。

 

 

この記事の内容は「ニッセイ外国株式ファンド」を出しているニッセイアセットマネージメントの新興国レポートをきっかけに調べてみました。ニッセイアセットマネージメントはホームページで頻繁に新興国の状況をレポートしてくれるので、たまに読むと面白いです。

 

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