マイクロソフト 2019年Q2決算 Azureの成長に陰りで株価下落?
M君は優秀な生徒です。テストでは好成績を連発。これまで多くの人の羨望を集めて来ました。
そんな彼にも悩みがあります。
好成績が当たり前になりすぎて、そこそこ良いスコアでは周りが納得してくれないのです。
「なんでだ?こう見えてめちゃくちゃ頑張ってんだぞ!」
そんな声が聴こえてきそう?マイクロソフトの2019年Q2決算です。
売上、営業利益、EPSが2ケタ成長。それでも足りないのかい?
マイクロソフトの2019年度Q2の決算はほぼ市場予測通りの結果でしたが、決算発表後の株価は下がりました。
Q2の決算結果です。
売上、営業利益、純利益、EPS。全て10%以上の増加。
安定~。きっと株価も好調に上がるでしょう!
■MSFT株価チャート
あれ? むしろ下がってます?
売上もEPSも市場予想とほぼ同じのようですけどね。
何でだ?
株価下落の原因はAzureの成長スピードが落ちたから?
株価下落の原因はAzureの売上の伸びが落ちたからのようです。
Azureはマイクロソフトのクラウド・プラットフォームで、最近のマイクロソフトの成長を推し進めている事業です。
そのAzureの今期の売上は79%の増加でした。
79%増ですよ。。。何かご不満でも?
昨年同時期のAzureの売上成長率は98%でした。
段々と成長スピートが落ちてきているのが投資家のお気に召さなかったようです。世界は厳しいのです。
これについてはマイクロソフトも、「まだシェアが広がっていなかった初期の成長スピードを保つのは難しい」と言っています。そりゃそうです。
それでも、Azureは世界中の様々な企業に広がっています。
今回の決算発表でも、アメリカのスーパーマーケットチェーン クローガー(Kloger)やGAP、MasterCard、BlackRock、UBSがAzureを導入したと発表しています。
クラウドは企業がITサービスをスピーディーに導入するのに欠かせない選択肢ですから、Azureは今後もAmazonのAWSとともに伸びていくでしょう。
少し売り上げの伸びが落ちたからと言って悲観することでもないかな?
Azure以外も頑張っています。
マイクロソフトはAzureに頼り切っているわけではありません。事業別に見てみます。
Inteligent Cloud
「inteligent Cloud」は前述したAzureやWindows Server、SQL Server等のハードウェア、サービスを扱う部門です。
そのAzureやサーバを扱う「Server products and cloud services」は前年同期から24%増加しています。
もちろん、Azureの売上76%増加が大きいです。
「Enterprise Service」はサポートやコンサルティングのサービスです。これも6%増加。
More Personal Computing
「More Personal Computing」はWindows OSやSurface、Xboxを扱う部門です。
総売上は130億ドルで前年同期から7%増加です。
唯一売り上げが減少しているのは「Windows OEM」。パッケージ版のWindowsです。PC市場がハードウェアメーカのチップ供給のタイミングで予想より低調となったことが原因と述べています。
Surfaceは企業用、消費者用ともによく売れて39%の増加。
ゲーム事業も8%の増加。ゲームソフトの売上が31%伸びたようです。また、Xbox Liveのアクティブユーザが6,400万ユーザに達しました。
Productivity and Business Processes
「Productivity and Business Processes」は主にMicrosoft OfficeやOffice365を扱う部門です。
部門全体の売上高は前年同期に比べて13%の増加です
「Office Commercial products and cloud service」の売り上げは11%の増加。
ここにはMicrosoft Officeのソフトウェアパッケージ製品と、Officeをクラウド上で使えるようにしたOffice 365が含まれます。Office 365の売り上げは34%増加したのに対し、ソフトウェアパッケージの方は21%減少しています。
Officeのクラウドでの利用が進んでいることがはっきりと出ていますね。
Linkdinというビジネス特化型のSNSも29%の増加と好調です。
Dynamic productsはERPやCRMの業務アプリケーション・サービスです。
これもパッケージ製品とクラウドでサービス提供するDynamic 365があるのですが、Dynamic 365の売上が51%も増加しています。
世界でビジネスが回り続ける限り、マイクロソフトは稼げる
Microsoft Officeの利用がOffice365にシフトしているように、ソフトウェアの提供形態がパッケージ版よりクラウドでの提供がメインになっています。
マイクロソフトの最近の成功の理由はここにあります。
パッケージ版は1回売ってしまえば終わりですが、Office365は利用期間に応じて料金を支払う形態です。
ユーザは必要な時だけお金を払えばいいのです。
しかし、仕事においてMicrosoft Officeを使わないなんてことあるのでしょうか?
中には使わない会社もあるでしょうけど、大抵の企業は一回Office365を導入すれば、それを延々と使い続けます。
Azureも同じです。一度AzureでITサービスや社内の情報システムを構築したら、なかなか乗り換えることはないでしょう。
ユーザが一度Office365やAzureを導入してしまえば、マイクロソフトは長期にわたって安定した収益を得られます。これがマイクロソフトが投資家に好かれる理由です。
世界でビジネスが稼働していれば、マイクロソフトにお金が入ってくる。
そして、その収益を株価上昇や配当金によって投資している人達に還元するのです。
なんて狡猾。。。いや、賢いのでしょうか。
でも、マイクロソフトのような事業はAzureやソフトウェアをより便利に高度にするために、新しいサービス・機能を継続的に導入していく必要があるので、絶え間ない研究・開発が必要です。
今はAIやIoTですね。
なので、クラウド部門の投資費用は26%も増加しています。
そこをリスクと感じる人もいるかもしれませんが、とにかくM君は努力家なのです。
少しくらいAzureのスコアが伸びなくなっても暖かい目で見守りましょう。
きっと私たちに利益を分けてくれると信じています。
だから株価上がってください。
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