株価急落でもeMAXIS Slim米国株式や楽天VTIを売却してはいけない理由
絶好調だったアメリカの株価も、激しさを増す米中貿易摩擦の前にずるずると下がってきました。
最近「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」や「楽天VTI」でインデックス投資を始めた人の中には、一度売却して利益を確保しようと考えることもあるのではないでしょうか。
でも、その行動は誤りなのかもしれません。
目先の僅かな利益を得る代わりに、将来の大きな利益を取り逃す可能性が大きいからです。
株価が下がるのは普通の出来事
突然発生する株価の下落は不安を招くものです。
しかし、過去の米国株の動きを見れば、株価の急落はありきたりの出来事です。
フィデリティ証券によると、各年の株価下落幅の平均値を調べたところ、1年間の中でも平均14%は株価が下がるタイミングがあるようです。
にも関わらず、年初より株価がマイナスになって終わった年は過去35年間のうち20%もありません。
1年間の中で株価が一時的に下落しても、大抵の場合は年初より株価が上がって年を終えているのです。
2019年6月1日現在、S&P500は今年の最高値から何%下がったのでしょう?
約6.5%です。6.5%しか下がっていないです。まだ、焦ることもないでしょう。
■2015年からのS&P500の値動き
www.fidelity.comより引用
これは2015年からのS&P500の値動きです。
この短い期間でもチャイナショック、原油価格の下落、イギリスのEU離脱の国民投票等で、株価が大きく下がる機会が何回もありました。
この度に投資信託を売却して株価が復活した時に投資を再開、なんてことをしていたら、いつまでたっても資産は増えません。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)や楽天VTIを売ると利益拡大のチャンスを逃す
米国株は株価が下落しても、しばらく待っていれば復活します。
その米国株のインデックスに投資する「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」や「楽天VTI」を売るのは労力の無駄とも言えます。
でも、もしかしたら今回の株価下落は今までより長引くかもしれませんね。米中貿易摩擦は簡単には解決しないとも言われていますし。
であれば、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」や「楽天VTI」を今のうちに利益確定して、避難しておくのもありなんじゃない?
そんな事を考えてしまう時もあります。
確かに保有している投資信託を売却して現金比率を高めておけば、安心感を得られるかもしれません。
しかし、安心感を得る代わりに失うものもあります。
それは未来の利益です。
米国株は株価が下落した後、急激に反発することがあります。
■S&P500は株価下落の後に急反発
これはS&P500のチャートです。
2018年末は株価が大きく下がりましたが、矢印の部分で株価が急反発しています。
この日は1日で6%以上も上昇しました。
この時「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」や「楽天VTI」を手放していたら、この上昇の恩恵を受けることができません。
「たった1日の上昇を逃すことくらい大したことは無い。またすぐに投資すればいいだろ?」
と思うかもしれません。
しかし、一度売却した資金を一度に再投資するのもなかなか勇気がいることです。
殆どの人は何回かに分けて資金を投入するでしょう。そうすると、その後に続く株価上昇も取り逃してしまいます。
そして、この株価上昇の取り逃しが、得られたはずの利益を大きく損なうことになります。
■株価上昇を逃がした場合のパフォーマンス比較
www.fidelity.comより引用
これは1980年から1万ドルで投資をスタートして配当金は再投資するという条件で、全期間投資した場合とパフォーマンスが良い日の株価上昇を取り込めなかった場合のリターンの差を示したものです。
これもフィデリティ証券のレポートから引用しました。
たった5日間の上昇を取り逃しただけで、全期間投資していた場合に比べてトータルリターンが30%も下がっています。
株価下落時に投資信託を売却して現金を確保しておき、株価がある程度上がっていた時に投資を再開する。
一見すると合理的に思えますが、再開しようと思った時には将来の利益をかなり失っていることになります。
さらに「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」や「楽天VTI」のような投資信託は、注文を入れてから約定完了するまで2日くらいかかります。
どれだけ急いで投資しても2,3日分くらいの上昇はロストする可能性があります。
そう考えると勿体ないですね。
過去のデータが将来を保証するわけではありませんが、長い歴史を振り返ると「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」や「楽天VTI」の売却は利益拡大の機会損失に繋がってしまいそうです。
私は過去に投資信託やETFを損切りしたことが何度もありますが、かなりの損をしているんだなと、このデータを見て思い知りました。
まさに
「痛み無くして得るものなし!」
そろそろ痛みに強くなりたいものです。
他の記事の紹介です。
米国株は長く持てば持つほど、損失のリスクを減らすことができます。20年も投資していれば必ず利益を得られるのが米国株です。
VTI,VOOを販売するバンガード社も投資は耐えることが重要だと説いています。
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