米国株の営業キャッシュフローマージンを調べる。Visa,MSFT,AWK,ZTSが高い。
『その会社の営業キャッシュフローマージン、大丈夫ですか?』
個別株の銘柄選びの指標の一つに「営業キャッシュフローマージン」があります。
営業キャッシュフローマージンは、「営業キャッシュフロー」を「売上高」で割った値です。
「営業キャッシュフロー」は企業が本業で稼いだお金から、営業活動に必要なコストを差し引いた現金収支のことです。
この「営業キャッシュフロー」が「売上高」に対して高い、つまり「営業キャッシュフローマージン」が高いということは、現金を稼ぎ出す能力が高いと言うことです。
「営業キャッシュフローマージン」が高い企業は豊富な現金が継続的に入ってきます。借金をしない健全な経営が可能となり、将来の投資に備えることもできます。
そのため、長期投資をするなら営業キャッシュフローマージンが高い状態を継続している企業が望ましいと言われています。
大体15%以上が目安とされているみたいですね。
米国株の営業キャッシュフローマージンを調べてみる
私は米国の個別株にも投資しています。
自分の米国株の営業キャッシュフローマージンはどれくらいなのか、気になったので調べてみました。
お馴染みの「Morningstar」のサイトで調べてみます。
Morningstar: Morningstar | Independent Investment Research
まずはMorningstarで調べたい銘柄の「Full Key Ratios Data」を表示します。
表示方法は以下の記事に掲載しています。
私の保有銘柄の稼ぎ頭である「Visa」を例に見てみましょう。
■Visa Financial Data
「営業キャッシュフローマージン」は「営業キャッシュフロー」÷「売上高」です。
上記データのOperating Cash Flow(営業キャッシュフロー)をRevenue(売上高)で割った数値が「営業キャッシュフローマージン」になります。
このデータを使って、Visaの2009年からの営業キャッシュフローマージンを計算してみました。
■Visa 営業キャッシュフローマージンの推移
流石のVisa。営業キャッシュフローマージン15%なんて余裕です。
2018年は60%を超えています。
VisaやMastercardのような決済ネットワーク会社は、カード決済の利用が増えれば増えるほど利益が上がっていきます。
一度決済ネットワークを構築してしまえば、そこから継続的に利益が生まれるため、高い収益性を発揮できます。
それが営業キャッシュフローマージンの高さに繋がっているのでしょう。
Microsoft、マコーミック、、保有株の営業キャッシュフローマージンは?
意外と簡単に営業キャッシュフローマージンの推移を出すことができました。
他の保有株の営業キャッシュフローマージンもチェックしてみます。
私の保有株は先のVisaの他に、Microsoft(MSFT)、マクドナルド(MCD)、マコーミック(MKC)、ディズニー(DIS)、ユニリーバ(UL)、ゾエティス(ZTS)、American Water Works(AWK)です。
■MSFT,MCD,MKC,DIS 営業キャッシュフローマージン
Microsoft(MSFT)、マクドナルド(MCD)、マコーミック(MKC)、ディズニー(DIS)の営業キャッシュフローマージンの推移です。
Microsoft(MSFT)の営業キャッシュフローマージンは40%付近と非常に高い値です。
クラウドのAzureや、Office365といったサブスクリプション型のビジネスで継続的に収益を上げる体質に転換したのが成功しているのでしょう。
2015年から営業キャッシュフローマージンが上昇しているのも、Azureが広がってきた時期と一致している気がします。
マクドナルド(MCD)とディズニー(DIS)も余裕で15%は超えています。
マクドナルド(MCD)の営業キャッシュフローマージンは2018年に増加しています。店舗のフランチャイズ化が進んで営業利益が向上したせいかもしれません。
ディズニー(DIS)は右肩上がりに伸びているようですが、今後も伸びが続くかは不透明だと思います。
今、ディズニーが力を入れているストリーミングサービス「Disney+(ディズニープラス)」は多額の投資が必要となるので、しばらく営業キャッシュフローが落ち込むかもしれません。
そして、Visaと並ぶ稼ぎ頭であるマコーミック(MKC)。
スパイスで世界シェアNo1の会社ですが、そこまで営業キャッシュフローマージンは高くありませんでした。
ですが、右肩上がりに伸びていて、2017年、2018年は15%を超えています。
収益力が上がっているということでしょう。今後も期待です。
■UL,ZTS,AWK 営業キャッシュフローマージン
次はユニリーバ(UL)、ゾエティス(ZTS)、American Water Works(AWK)です。
ユニリーバ(UL)は横ばいですね。
2018年の営業キャッシュフローマージンは13.3%です。もう少し頑張ってほしい!
驚きなのは動物医薬品メーカのゾエティス(ZTS)と民間水道会社のAmerican Water Works(AWK)です。どちらも右肩上がりに上昇しています。
ゾエティス(ZTS)は世界中のペットブームに引っ張られてペット用医薬品の売上拡大が続いたことで、営業キャッシュフローが伸びています。
動物用医薬品には大きな競合相手がいないという点も収益力を押し上げる要因になっていると思います。
驚きなのはAmerican Water Works(AWK)です。営業キャッシュフローマージンは40%超とMicrosoft並みでした。
水道でそんなに稼いでアメリカ人は怒らないのか??と余計な心配をしてしまいます。。。
保有株の営業キャッシュフローマージンはこんな感じでした。
VisaやMicrosoftが高いことは調べる前から何となく知っていました。
しかし、American Water Works(AWK)、ゾエティス(ZTS)の営業キャッシュフローマージンの高さには少しばかり驚きました。
中でもAmerican Water Works(AWK)は地味な公益セクターの割に、最近株価が上がり続けていたので、「一度売却してしまおうかな?」と考えていましたが、この結果を見ると売るには惜しい気がしてきました。
こんな感じで、営業キャッシュフローマージンで自分の保有銘柄の力強さを再発見できるかもしれません。
逆に営業キャッシュフローマージンが落ち込んで来た時は、その企業の優位性が減少している可能性があります。
その場合は投資を継続するか再考すべきでしょう。
自分の保有銘柄が投資を継続する価値があるかをチェックするためにも、営業キャッシュフローマージンは定期的に計算しておいた方が良さそうです。
他の記事の紹介です。
高キャッシュフローマージンを誇るVisaは今後も株価の上昇が期待できるのか?
仮想通貨の台頭が鍵を握るかもしれません。
American Water Works等の公益株は米中貿易摩擦でも強い耐性を発揮してくれるかもしれません。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
良ければクリックお願いします。