SBI・バンガード・S&P500よりeMAXIS Slim米国株式(S&P500)を選ぶべき?
『SBI・バンガード・S&P500・インデックスファンド』は米国の株式指数S&P500に連動するインデックスファンドです。
信託報酬は0.0938%と、低コスト化が進むインデックスファンドの中でも圧倒的な低コストでの提供を開始しました。
では、この「SBI・バンガード・S&P500」は他の米国株に投資するインデックスファンド、特に競合である「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」より買いなのでしょうか?
「SBI・バンガード・S&P500」の特徴を振り返るとともに、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」より優れたファンドになり得るのかを考えてみました。
結論としては、現時点では「SBI・バンガード・S&P500」より「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」を買っておいた方が安心です。
「SBI・バンガード・S&P500」はVOOに投資するインデックスファンド
最初に「SBI・バンガード・S&P500・インデックスファンド」の特徴をおさらいしておきましょう。
「SBI・バンガード・S&P500」はバンガード社のETF「VOO」に投資することで、S&P500への連動を目指すインデックスファンドです。
S&P500は米国の大型株500銘柄から構成される株式指数です。
次のような銘柄で構成されています。
■VOO 上位10銘柄(2019.09.27時点)
マイクロソフト、 Apple、Amazonのように、世界中で事業を展開する米国企業で構成されています。
この世界経済を主導する企業の集まりとも言えるS&P500のリターンは、右肩上がりで上昇を続けています。
■VOOのトータルリターン(2010.09~2019.09)
VOOの配当込みのトータルリターンです。
運用が開始された2010年9月から3倍以上もリターンが上昇しています。
「SBI・バンガード・S&P500」を積み立てることで、このVOOのリターンを受けることができます。
VOOを直接買うと外国株の購入手数料が発生してしまいますが、「SBI・バンガード・S&P500」なら手数料無しで少額から買えます。
つみたてNISAにも対応しているので、運用益を非課税にすることもできます。
そんな投資が信託報酬0.1%未満の低コストで実現できるのだから、間違いなくインデックスファンドの中でも中心的な存在となる可能性を秘めています。
今はSBI・バンガード・S&P500より、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)を選ぶべき
「SBI・バンガード・S&P500」の購入にあたっての悩みどころは、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」とどちらが良いかという点です。
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」もS&P500に連動するインデックスファンドなので、パフォーマンスは似たようなものになるはずです。
では、S&P500に投資するインデックスファンドとして、より優れたものとなるのはどちらでしょうか?
「SBI・バンガード・S&P500」のコストとパフォーマンスが、既に運用開始から1年以上経過した「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」に勝つことができるのかを考えてみます。
まずはコストです。
「SBI・バンガード・S&P500」の消費税10%適用後の信託報酬は0.0938%です。
それに対し、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の信託報酬は0.165%。
その差は0.0712%と小さくない差です。
しかし、インデックスファンドの運用には信託報酬以外の隠れコストも発生します。
この隠れコストを含めた「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の実質コストは0.25%程度と、インデックスファンドの中では最安レベルのコストです。
■SBI・バンガードとeMAXIS Slimの信託報酬、実質コスト
「SBI・バンガード・S&P500」は運用を開始したばかりなので、実質コストは分かりませんが、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」を下回るには、信託報酬以外の隠れコストを0.15%以内に抑える必要があります。
「そんなの余裕でしょ?」
と思いたいところですが、その判断は時期尚早です。
「SBI・バンガード・S&P500」を運用するSBIアセットマネジメントの他のインデックスファンドの実質コストは、eMAXIS Slimほど安くはありません。
例えば、先進国株式に投資する「SBI・先進国株式インデックス・ファンド」の第1期の隠れコストは0.22%でした。運用期間が1年に満たないにも関わらずです。
同様に、全世界に投資する「SBI・全世界株式・インデックスファンド」の第1期の隠れコストも0.18%を超えています。
全てチェックしたわけではありませんが、SBIアセットマネジメントが運用するインデックスファンドは、売買委託手数料や保管費用が高い傾向にあります。
■隠れコストの比較 ~slim米国 vs SBIアセットマネジメント~
これは「eMAXIS Slim米国株式」と「SBI・先進国株式」「SBI・全世界株式」「SBI・新興国株式」の信託報酬以外のコストです。
直近の運用報告書に掲載されている費用を365日分に換算しました。
SBIのインデックスファンドは、どれも隠れコストが0.15%を超えています。
もし、「SBI・バンガード・S&P500」の運用コストも同程度になるなら、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」との信託報酬の差が打ち消されてしまいます。
ここに記載したSBIのファンドは「SBI・バンガード・S&P500」と同じようにETFを買うだけのファンドです。
「SBI・バンガード・S&P500」の運用コストが、これに近くなる可能性は否定できません。
次にパフォーマンスについてです。
インデックスファンドの運用で重要なのは、ベンチマークとの乖離率をどれだけ小さくできるかです。
この点において「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は非常に優秀です。
直近の運用報告書では「eMAXIS Slim米国株式(S&P500」のベンチマークとの乖離率は、わずか-0.1%。ベンチマークに限りなく近づけることに成功しています。
それに対し、SBIアセットマネジメントのインデックスファンドは、ベンチマークに近づけることに苦戦しているように見えます。
「SBI・新興国株式」はベンチマークとほぼ同じでしたが、「SBI・先進国株式」のベンチマークとの差は-0.7%、「SBI・全世界株式」は-1.2%と、かなりベンチマークから乖離していました。
この点は「SBI・バンガード・S&P500」の今後の運用に不安を残すところです。
もちろん「SBI・バンガード・S&P500」の実質コストやベンチマークからの乖離が、他のSBIのファンドより改善される可能性もあります。
ですが、そうはならなかった場合、「SBI・バンガード・S&P500」は信託報酬は低いけど、実質コストは高く、S&P500との連動性もイマイチといった、期待外れのインデックスファンドとなる可能性も残っています。
どちらに転ぶかは第1期の運用報告書を見てみなければ分かりません。
「SBI・バンガード・S&P500」の第1期の決算日は2020年9月20日。運用報告書が交付されるのは、2020年10月か11月頃でしょう。
それまでの間は、実質コストも低く、ベンチマークとの乖離も少ない、優秀な運用実績をもつ「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」を選んだ方が無難です。
他の記事の紹介です。
米国株に投資するインデックスファンドの代表的な存在として楽天VTIもあります。
こちらも実質コストを低く抑えることに成功しているので、おすすめのインデックスファンドです。
私はeMAXIS Slim米国株式ではなく、楽天VTIで米国株に投資をしています。その理由をまとめた記事です。
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