株式、債券、REIT(リート)の値動きを比較。分散投資の効果を再認識する。
2018年9月1日・・・11,016円。
2019年8月30日 ・・・10,515円。
これはeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の基準価格です。
米国の株式指数は1年前と比べると殆ど値上がりしていません。
米国株の強さに期待してインデックス投資を始めた人の中には、がっかりしている人もいるのではないでしょうか。
ですが、インデックス投資をしている人全てがこのような気持ちを抱いているわけではありません。
しっかりと分散投資をしている人には、また違った景色が見えているはずです。
米国株と他の資産クラスのパフォーマンスを比較してみると、分散投資の価値というものを改めて認識することができます。
株式の国際分散投資ではリスク分散にならない
分散投資の手段の一つに、色々な国の株式に投資する方法があります。
インデックス投資では米国、先進国(米国含む)、日本、新興国の株式指数に分散投資するのがポピュラーな手法ですね。
では、直近1年間はこの分散投資に効果があったのでしょうか?
それぞれの株式指数に連動するインデックスファンドの値動きを比較してみました。
■株式インデックスファンドの価格推移
米国、先進国、新興国、日本の株式指数に連動するインデックスファンドの過去1年間の基準価格の推移です。
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」「eMAXIS Slim先進国株式」「eMAXIS Slim新興国株式」「eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)」のデータを比較に用いました。
これを見ると、価格の上げ幅、下げ幅の大小はあるものの、基本的には同じ方向に動いています。
世界の株価の連動性の高さが良く分かります。
少なくとも、ここ1年は世界各国の株式に分散投資しても、大した効果が得られない時期でした。
米国だけに投資していようが、他の国に投資していようが、
「株価、全然上がらないな~」
という状態であることに変わりはなかったのです。
ですが、株式以外のインデックスを見ると状況は大きく変わってきます。
リートや債券を株式と組み合わせることで分散投資の効果が生まれる
今度は債券とリートに投資するインデックスファンドの値動きを比較してみました。
■リート、債券、米国株式の価格推移
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と外国債券に投資する「たわらノーロード外国債券」、J-REIT(Jリート)に投資する「たわらノーロード国内リート」、先進国のREIT(リート)に投資する「たわらノーロード先進国リート」の比較です。
先進国リートは米国株式と似たような値動きをしていますが、国内リートと外国債券の値動きは米国株とはかなり異なります。
外国債券のインデックスファンドは値動きが非常に小さく、2018年末の株価急落時も大きく価格を下げることはありませんでした。
この1年に限定すれば、米国株より良いパフォーマンスを示しています。
そして、出色のパフォーマンスを示しているのがJリートです。
こちらも昨年末の株価急落時に価格を大きく下げることは無く、その後も価格が上がり続けました。
結果的に米国株をしのぐ上昇率を示しています。
この1年間、株式だけに投資していた人は、上がったと思ったら突如急落する株価にやきもきすることも多かったことでしょう。
しかし、予めリートや債券に投資をしていた人はこう思えたはずです。
「また株価が下がってきたな~。。。」
「でも、債券とリートは上がっている?ならいいか!」
株と違った値動きをする資産を持つことで、株価の下落から目を逸らせる。
目を逸らせるから、株価が下がっても長期保有ができる。
こうやって株価の大きな変動に耐える心理状態を作ることが、分散投資の役割だと思います。
その役割を株式だけのポートフォリオに任せるのは、かなりハードルが高いです。
債券やリートのような株式と異なる値動きをする資産をポートフォリオに組み入れた方が良いでしょう。
中には債券やリートに投資するのは非効率だという意見もあります
債券やリートは長期のパフォーマンスでは株式に勝てないからです。
でも、私たちは未来の株価が見えるわけではなく、どうしたって今見える株価に心を乱されます。
せっかく買った株式も、株価急落にうろたえて売却してしまったら、効率もなにもありません。
リートや債券をポートフォリオに組み入れて狼狽売りのリスクを防げるのであれば、それはむしろ効率的な投資手法と言えるのではないでしょうか。
この先も株価の急落は何回もやってきます。
その急落を乗り切るためにも、分散投資の効果が出るポートフォリオの構築を心がけたいものです。
他の記事の紹介です。
過去5年間で先進国株式と相関関係が低い投資先はJリートでした。
昔からJリートに投資している人は今笑いが止まらないんでしょうね。
株、債券、不動産を組みあわせたポートフォリオはノルウェー政府年金基金も採用しています。
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