つみたてNISAでおすすめの組み合わせはeMAXIS Slimシリーズ2本でできる
株式で積立投資を始める場合、まず最初にやるべきは「つみたてNISA口座」の開設でしょう。
つみたてNISAは獲得した利益にかかる所得税を0にできます。
通常の株式取引では20%もの所得税が引かれてしまうので、かなりのお得です。
年間40万円という投資金額の上限が定められているので、初めて投資をする人の入り口としてもおすすめです。
では、つみたてNISAを始める場合、どの商品を買えば良いのでしょうか?
ここでは、つみたてNISAのおすすめの組み合わせを考えてみました。
おすすめは「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と「 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」。
この2つに2:1で投資をすることで、リスクを抑えながら世界中に分散投資できます。
- つみたてNISAで米国を中心に全世界に投資する
- 2つのeMAXIS Slimシリーズで世界分散投資する
- eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)と eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に2:1の比率がおすすめ
つみたてNISAで米国を中心に全世界に投資する
つみたてNISAで買える商品は投資信託だけです。金融庁が選んだ国内外の株式に分散投資する投資信託が中心です。
一杯あり過ぎてどれを選んだらよいか、迷ってしまうかもしれません。
さて、どの投資信託を買えばよいのでしょうか?
絶対的な正解はありませんが、ここでは以下の基準で選んでみました。
1. 世界中に分散投資する。特定の国に集中投資しない。
2. 投資対象をできるだけ少なくする。
1点目はどの国に投資をするかです。これについては、
「米国が常に最強!」
「いや、これからは中国・インドだ?」
等、様々な意見が飛び交いますが、未来は誰にも分かりません。
なので、ここでは好き嫌いせずに、米国、日本、他の先進国・新興国に分散投資することにします。
2点目は購入する投資信託の数を少なくすることです。
つみたてNISAは毎月3万円程度しか投資できませんし、投資対象が多すぎるとチェックが面倒と思ったからです。
まずはどの国の株式にどれだけ投資するかを決めましょう。
鍵となるのは米国株の比率です。今現在の世界経済を牽引する米国株の比率を小さくしすぎると、パフォーマンスが低下する可能性が大です。
この比率は、こちらのデータを参考に決めてみたいと思います。
フィデリティ証券のレポートでは、1950年~2018年に米国70%・米国以外30%に投資した場合、米国や米国以外の投資した場合と比べて、標準偏差(株価の変動)が最も小さく、シャープレシオ(リスクを取った時の投資効率)が最も高かったそうです。
米国に集中投資するより、投資効率が良く、リスクも抑えられるという意味です。
これを参考に、ここでは米国70%・米国以外30% の比率になるようにつみたてNISAの商品を選んでみます。
なお、上記レポートについては以下の記事に纏めています。
2つのeMAXIS Slimシリーズで世界分散投資する
ここから購入する投資信託を選んでいきます。
米国、日本、他の先進国・新興国に投資する、かつ購入する投資信託を少なくするのであれば、全世界の株式に投資できる投資信託が必要になります。
候補は以下の3つです。
■全世界に投資する投資信託
・eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
・SBI・全世界株式インデックス・ファンド
・楽天・全世界株式インデックス・ファンド
3つとも米国、日本、他の先進国・新興国に一度に投資できるインデックスファンドです。
違いはベンチマークとする株式指数です。
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」はMSCI ACWIインデックスを採用しています。
他の2つはFTSE Global All Cap インデックスを採用しています。
FTSEの方は小型株を含みますが、MSCI ACWIインデックスは大・中型株のみです。
どちらの株式指数もパフォーマンスに大差はないですが、この中から選ぶのであれば「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が良いと思います。
理由はコストの低さです。
■全世界型の投資信託の純資産と信託報酬
それぞれの純資産と信託報酬を比較しました。
純資産が大きい「楽天・全世界株式インデックス」を選びたいところですが、信託報酬が他の2つより高いので除外します。
信託報酬だけで見ると「SBI・全世界株式インデックス」なのですが、第1期の運用報告書では実質コストが0.3%を超えていました。
「SBI・全世界株式インデックス」は3本の海外ETFに投資するインデックスファンドなので、ETFの経費が余計にかかります。
それに対し、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の実質コストはまだ発表されていませんが、こちらはETFではなく現物株式での運用なので、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の方が実質コストは安くなる可能性が高いと思いました。
と言うわけで、まず購入するのは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」です。
しかし、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は米国株の比率が55%しかありません。
目標の70%に達するには、米国株比率を調整する必要があります。
そこで、米国株のみに投資する投資信託を追加します。
候補は次の3つです。
■米国に投資する投資信託
・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
・iFree S&P500インデックス
・楽天・全米株式インデックス・ファンド
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「iFree S&P500」はS&P500に投資するインデックスファンドです。米国の大型株505銘柄に投資します。
「楽天・全米株式インデックス」は中・小型株を含む米国市場全体の株式に投資します。
こちらも純資産と信託報酬を見ておきます。
■米国に投資する投資信託の純資産と信託報酬
まず、「iFree S&P500」は 純資産も小さく、 「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と比べて信託報酬も高いので除外になります。
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「楽天・全米株式インデッス」の2択になりますが、ここはS&P500に投資する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を選んでみます。
世界中に投資する投資信託は小型株を含まない「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を選んだので、こちらも大型株に投資する 「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を選んでみました。
パフォーマンスや信託報酬に大差はないので、「楽天・全米株式インデックス」に置き換えても良いと思います。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)と eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に2:1の比率がおすすめ
購入する投資信託は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」になりました。
では、それぞれに幾らずつ投資すればよいでしょうか?
「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の比率が2:1になるように投資することで、米国株の比率を70%にできます。
つみたてNISAは年間40万円が上限なので、毎月の積み立て額は最大で3.3万円程度です。
その場合は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」に2.2万円、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に1.1万円ずつ投資すれば良いです。
この内訳でつみたてNISAを購入した場合、以下の国に分散投資することになります。
■投資対象国の内訳
米国は70%、次いで多いのが日本です。
23ヵ国の先進国と24ヵ国の新興国に分散投資されます。新興国の比率は7%程度です。
米国の比率が70%を占めるので、世界経済の中心である米国株のパフォーマンスを充分に受けることができます。
また、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」単体よりも 新興国の比率が少なめなので、株価の変動は小さくなるでしょう。
たった2つの投資信託に2:1で投資することで、世界中に分散投資でき、安定したパフォーマンスを期待できます。
もちろん、「日本株は要らない」とか「新興国をもっと増やしたい」というような細かいこだわりを持つ人は、他の投資信託を自由に組み合わせればよいでしょう。
しかし、これから投資を始める人で、どの国に投資するかを考えるのが手間だという人は、この組み合わせで十分だと思います。
全世界に投資する投資信託で世界中に分散投資し、米国のみに投資する投資信託で米国株の比率を大きくする。
つみたてNISAはこの方針で長期投資するのがおすすめだと思います。
積立設定をした後は、20年後に良い結果が出ることを願って見守りましょう。
他の記事の紹介です。
ETFで米国70%・米国以外30%に投資する方法もあります。
米国のみに投資するVTIと米国以外の国に投資するVXUSを70%:30%の比率で投資すれ良いです。こっちの方がシンプルな組み合わせですね。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)一本での投資はリスクが高いと思います。この先、新興国の比率が大きくなるにつれて、株価の変動も大きくなる可能性があります。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
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