株価が好調なユニリーバ 高級スキンケアブランドの買収で高収益体質を目指す
アイスクリームの「ベン&ジェリーズ」、紅茶の「リプトン」、洗剤の「ドメスト」、ボディケア・スキンケア製品の「Dove」。
日本でもお馴染みのブランドを数多く持つ『ユニリーバ(UL)』。
今、最も力を入れているのはスキンケア製品を始めとしたパーソナルケア部門です。
高価格帯ブランドの積極的な買収で、停滞する売り上げの成長を目指しています。
ユニリーバの売上は停滞中 食品から高収益なパーソナルケアにシフトする
P&Gと並ぶ世界有数の一般消費財メーカであるユニリーバですが、ここ数年は売り上げが伸びていません。
■ユニリーバの売上と営業利益
ユニリーバの売上と営業利益の推移です。
売上は2012年頃から横這いの状態です。
この状態を脱却するためにユニリーバは、より高い売上が見込める『Beauty&Personal care』分野にシフトしてきました。
■2008年と2018年の各部門の売上比率
2008年の時点では食品事業「Food & refreshments」部門の売上比率が最も高かったのですが、2018年は「Beauty&Personal care」部門の比率が40%以上で最大となっています。
高級ブランド+オンラインで売上向上、サブスクリプショナル化を目指す
「Beauty&Personal care」部門を強化した手法は新興ブランドの買収です。
ユニリーバは2015年から2018年にかけて25社も買収をしていますが、そのうち13社は「Beauty&Personal care」部門の企業です。
買収したブランドには共通点があります。『高価格帯』『ナチュラル』です。
例えば2015年に買収したアメリカの「ダーマロジカ」は肌の健康を重視して鉱物油や合成香料は一切使用しないスキンケア製品のブランドです。
日本の公式サイトで買うと、クレンジングジェルが250mLで5,500円です。
つい最近買収が決定した「タチャ」もアメリカのスキンケアブランド。
日本の芸者から着想を得たと言われていて、緑茶や米ぬか等を配合しているらしいです。化粧水は5,000円以上します。
最近の欧米ではナチュラル・健康がトレンドなので、少しばかり『高価格』でも『ナチュラル』なスキンケア製品が人気のようです。
そして、ユニリーバが『高価格』にこだわるのには理由があります。
冒頭でユニリーバの売り上げが停滞していると書きましたが、売り上げた商品の数自体は増えています。しかし、欧米で商品価格の低下が続いたため、数は売れても売上高が増えないという事態に悩まされてきました。
その悩みから脱却するために、1個当たりの売上・利益が大きくなる高価格帯ブランドに力を入れています。
こういった商品は店頭ではなく、オンラインで消費者に直接販売されるケースが多いです。
ネット直販でよく見られる「定期お届けサービス」のように、消費者が自動的に継続購入してくれれば、更なる売上の増加も見込めます。
いわゆるサブスクリプショナルモデルを目指しているのでしょうね。
ユニリーバの株価は好調。売上アップで株価上昇を継続できるか。
高級ブランド買いまくりのユニリーバですが、現在の株価は好調です。
■ユニリーバ ADRの株価
2018年は停滞していましたが、今年になって株価が上昇しています。
でも、これはイギリスのポンド安がユニリーバに有利に働くと見られての上昇のようです。企業業績とはあまり関係が無い上昇でしょう。
この株価上昇が継続できるかは、買収したブランドによってユニリーバの売上高が伸びていけるかにかかっているようです。
新興国の売上も大きいユニリーバですから、ユニリーバ傘下ブランドの製品が世界中で継続購入されて、株価も継続的に上昇!
ユニリーバ株を保有し続ける身としては、そんな未来を期待しています。
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ユニリーバの前回決算は新興国の売り上げが好調で、市場予想を上回る好決算でした。これが売上停滞からの脱却につながるのでしょうか。
ユニリーバの営業キャッシュフローマージンは13%程度でした。もう少し頑張ってほしいです。
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