Visa 2019年Q3決算 売上,利益が2桁成長の通常運転。世界の決済回数拡大で。
電子決済の拡大の恩恵を受け続ける『Visa』。
決済ネットワーク最大手の「Visa」が2019年Q3の決算を発表しました。
結果は売上、利益ともに前年比10%超の成長。市場予測を超える結果を出しました。
決算発表後の時間外取引で株価が少し下がっていますが、長期投資目的の人にとっては安心して保有していられる結果ではないでしょうか。
Visa 2019年Q3決算 電子決済の拡大で売上、利益ともに2桁成長
Visaの2019年第三四半期の売上、営業利益、EPSです。
売上は58億ドルで前年同期から11%の増加。市場予測の57億ドルを越えました。
1株あたりの利益を示すEPSは1.37ドルと前年から14%増加です。これも市場予測の1.32ドルを越えています。
世界経済の先行きが懸念される中、ほっと一息つかせてくれる安心安全な決算結果です。
成長を牽引するのは電子決済の拡大です。
Q3の「Payments Volume」 = Visaで決済した金額は2兆2,300億ドル。
為替影響を除外すると、前年同期から9%増加しました。
「Payments Volume」の地域別の内訳を見ると、世界中でVisaでの決済が増えていることが分かります。
■地域別のPayments Volume
全地域でPayments Volumeが増加しています。
ボリューム的にはUS(アメリカ)が圧倒的に大きいですが、CEMEA(中東、アフリカ、中央ヨーロッパ)、LAC(中南米)といった新興国でも決済金額の伸びが大きいです。
電子決済の利用回数が増えれば増えるほどVisaの利益は伸びていきます。
それが世界中で拡大していくのはVisaホルダーにはとっては喜ばしい傾向です。
なお、決済金額以外のデータも見ておくと、
「Cross-Border Volume」(国際送金の手数料)は前年同期から7%の増加。
「Processed Transactions」(主にカード発行会社と加盟店間のデータのやり取りの回数)は前年から12%の増加でした。
国際送金、トークン決済。買収で事業を強化するVisa
Visaの利益の源泉である電子決済は、これからも世界中で拡大することが予測されます。
世界の決済の50%はまだ現金らしく、伸びる余地が充分にあるためです。
それを考えると今後も安泰に見えるVisaですが、守りに入ることはありません。
Q3は幾つかの企業や事業の買収に合意していて、国際送金やトークン決済を強化しようとしています。
どんな会社を買収したかというと、、、
・アースポート(英)
国際送金サービスを提供する会社で、仮想通貨リップルと提携しています。
Visaは6月に「Visa B2B Connect」という、ほぼリアルタイムで国際送金を可能とするサービスを開始しました。
アースポートの技術を「Visa B2B Connect」に取り入れることで、国際送金の取引を拡大させる意図があります。
・ Rambus(米)のトークンサービス
Visaはトークン決済に力を入れています。これは、カード番号等の識別情報をトークンというデジタルIDに置き換えることで、不正利用を防ぐ決済を可能とするものです。
Rambusの技術を用いることで、クレジットカード以外の電子決済にもトークン決済を提供できるようになるかもしれないとのことです。
他にも「ペイワークス」という次世代のPOS(店頭)決済・ゲートウェイソフトウェアを提供する会社や、チャージバック=カード支払いの取り消し回数を削減するソリューションを提供する「Verifi」という会社を買収しています。
中でもアースポートが絡む国際送金の市場総額は、2018年の2250億ドルから2023年には3870億ドルまで拡大すると予測されています。
この取引が「Visa B2B Connect」+「アースポート」で行われることになれば、Visaの利益はさらに拡大することでしょう。
Visaの決算では、決済の金額・トランザクション数とともに、国際送金の伸びも注目ですね。
最後にVisaの株価を見ておきます。
■VisaとS&P500の株価チャート
VisaとS&P500の過去5年の株価の推移を比較したものです。S&P500が低成長に見えてしまいますね。。。。
決算発表後の時間外取引では株価が少し落ちましたが、Visaにとっては通常運転、他の企業にとっては羨ましいような決算だと思います。
Visaの株価がどこまで伸びるのか、今後も楽しみに見守りたいです。
それにしても、Visa株にはもっと早く出会っておきたかったですね。
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