VTやeMAXIS Slim 全世界株式 のポートフォリオが変わる時に何が起きるのか
世界中の国に分散投資して、世界経済の成長を逃がさない。
そんな難易度が高そうな投資も、ETFや投資信託が簡単に実現してくれます。
例えば、バンガードのETFである「VT 」。投資信託では「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」等です。
これらの商品を一本買うだけで、世界中の企業に分散投資できます。
時価総額の比率に応じて投資対象の配分が決まるので、その時強い企業・国に多く投資するように、勝手にポートフォリオをリバランスしてくれます。
積立設定をしてほったらかしておけば、世界分散投資の出来上がりです。
でも、このポートフォリオのリバランスが「VT」や「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の性質を変えてしまい、積み立て投資に不向きな商品となってしまう可能性は無いのでしょうか。
VTは株価が右肩上がりに成長しているから積立投資に適している
インデックス投資が積み立て投資に適していると言われるのは、長期的に見れば株価が右肩上がりに成長しているからでしょう。
右肩上がりに成長するからこそ、どの時期で買っても、長期で保有すれば高い確率で利益を得ることができるのです。
投資タイミングを選ばない積み立て投資が有効となります。
次のチャートは VTの10年間の株価チャートです。
■VT 株価チャート
多少上下の変動が大きい気がしますが、全体的には右肩上がりです。
なので、今はVTも長期での積み立て投資に適していると言えるでしょう。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)のベンチマークであるACWIもVTと同じような値動きです。
気になるのは、VTやeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)のポートフォリオが今から大きく変わった時、この右肩上がりのチャートの形が維持されるのかという点です。
現在のVTの投資対象国の内訳は次のようになっています。
■VT 投資対象国の内訳
ご存知の通り、アメリカの株式が過半数を占めます。
今のVTの右肩上がりのチャートを引っ張っているのはアメリカです。
では、この勢力図に変化が起きたらどうなるのでしょう。
新興国の時価総額がアメリカに近づく時、VTは右肩上がりの形を維持できるのか
IMF(国際通貨基金)や世界銀行の予測では、中国は2030年までにアメリカのGDPを追い抜き、インドもそれに次ぐ成長を果たすとされています。
そうなると株価の時価総額でも、中国やインドがアメリカを追い抜く日が来る可能性も出てきます。
少なくとも、新興国の割合が現在よりずっと高くなるのは確実です。
その時、VTやeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の株価の動きはどうなるのでしょうか。
■ VWO 株価チャート
これは新興国のみに投資するETF VWOの10年間のチャートです。
右肩上がりとはいかず、上下の動きが大きいのが新興国の株式市場です。
現在、VTの中の新興国の比率は10%程度ですが、この比率がアメリカに迫った時、VTの値動きはVWOの値動きの方に近づいてしまうのかもしれません。
そうなると、VTに長期で積み立て投資しても利益が出づらくなってしまいます。
安い時に多く買う等、タイミングを考えて投資するような商品となってしまうかもしれません。
もしかすると、そんな変動の激しい市場に多くの資金が流入することはない。つまり、新興国の比率が上がる時は、新興国も右肩上がりの成長を果たす市場になった時なのかも。
それなら、VTは今のように積み立て投資に適した商品であり続けるのでしょう。
こんなことを考えると、「VT」や「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」一本で世界全体に分散投資するというのも、なかなか勇気が必要と思えてきました。
どっちに転ぶかはその時になってみないと分かりませんが、VTの新興国比率には注意しておきたいところです。
他の記事の紹介です。
世界全体に投資するVT、アメリカだけに投資するVTIの成績を比較した記事です。
こちらは「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」をまとめた記事です。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
良ければクリックお願いします。