ゾエティス(ZTS) 2019年Q1決算 通期の売上高を下方修正もペット用医薬品は絶好調
ゾエティス(ZTS)は動物用医薬品のリーディングカンパニーです。
ペット用の医薬品で成長しているので、「ペット銘柄」と言っても良いでしょう。
そのゾエティスの2019年Q1の決算が発表されました。
相変わらずペット用医薬品が成長を続けており、EPSは市場予測を超えました。
しかし、もう一つの事業の柱である家畜用の医薬品は低調な結果です。
他にも2019年のガイダンスは売上高を下方修正する等、少しだけ残念な結果も散見されます。
ゾエティス(ZTS) 2019Q1決算 家畜用医薬品の売上が減少、ペット向けは好調
ゾエティス(ZTS)のQ1の決算結果です。
■Zoetis(ZTS) 2019年Q1 決算
調整後EPSは前年から17%増加の0.88ドルで市場予測を超える結果でした。
売上(Revenue)は14.55億ドルで、こちらは市場予測とほぼ同じです。
Q1は家畜用医薬品の減収が売り上げの伸びに影響を与えたようです。
地域・事業毎に売上を見てみましょう。
■アメリカ 事業別売上
アメリカでは家畜用の医薬品を扱う「Livestock」部門の売り上げが7%の減収となりました。
牛、豚用の医薬品の売り上げが減少しています。販売会社が抗生物質入りの飼料を購入するタイミングがずれたことで売上が減ったようです。
あくまでも一時的なものと述べているので、心配無用でしょうか。
ペット用の医薬品を扱う「Companion Animal」部門は、相変わらず絶好調です。前年から30%も売り上げが増えています。
2018年Q3の売上の伸びは20%、Q4が26%でしたから、さらに売上が加速していることになります。
昨年買収した血液検査機器メーカの「Abaxis(アバキス)」や猫向けのノミ・ダニ駆除薬である「Revolution Plus」、犬用のノミ・ダニ駆除薬「Simparica」といった主力製品の売り上げが良かったようです。
次にアメリカ国外の売上を見てみます。
■アメリカ国外 事業別売上
海外でも 「Livestock」部門は減収となりました。特に中国で発生したアフリカ豚コレラの影響が大きかったようです。
一方で「Companion Animal」部門は好調で、為替影響を除くと前年から23%も増えています。2018年は10%台の伸びでした。アメリカ国外でもペット用医薬品の売り上げが加速的に増えているようです。
アメリカ国外でも「Abaxis(アバキス)」の買収効果と「Simparica」が売上に貢献したようです。
海外の国別売上は次のようになりました。
■アメリカ国外の売上 (単位:億ドル)
ゾエティスは新興国での売り上げが大きいのですが、中国やブラジル等の新興国の売上が下がっています。
ただ、これは為替の影響が大きいです。為替影響を除外して計算すると、中国と日本以外は売り上げが 成長しているようです。
2019年の売上予測を下方修正するも株価は安定
ゾエティス(ZTS)は今回の決算発表で2019年のガイダンス(見通し)を修正しています。
売上(Revenue)は61億ドル~62.25億ドルに下方修正しました。前回発表時は61.75億~63億ドルでした。
これは為替の影響を考慮したもので、事業内容にネガティブな理由があるわけではなさそうです。
調整後EPSは3.42ドル~3.52ドルと前回発表から変わらずでした。
さて、この決算の結果を受けてゾエティス(ZTS)の株価はどうなったのでしょうか。
■ゾエティス(ZTS)株価チャート
取引開始時は株価が下がっていましたが、その後は持ち直しました。前日より1.3%上昇して取引を終えています。
売上高のガイダンスが市場予測を下回ったことで株価が下がると思いましたが、取り越し苦労でした。
実際のところ、売上の減少も為替や一時的な要因によることが多い、かつペット用医薬品の成長が継続しているところを見ると、悪くない決算かなと思います。
ゾエティス(ZTS)の長期的な成長に期待したい
ゾエティスは今後もペット、家畜向けのポートフォリオ拡大に投資を続けるとしています。
最近では、中国で「アポキル(Apoquel)」という犬用のアトピー性皮膚炎薬の承認を得ました。
カナダでは「Core EQ Innovator」という、これ一つで5つの疾病の感染を予防する馬用のワクチンの承認を得ています。
新しいサービスも展開していて、アメリカで「Clarifide Plus」 というジャージー牛用の遺伝子診断サービスを立ち上げました。これによって早期に病気を検知できるらしいです。
こんな風にペット用医薬品、家畜用医薬品のポートフォリオを世界中に拡大しています。
このペット用、家畜用医薬品は世界の人口増加の恩恵を受けれる事業だと思います。今後、新興国で人口が増加すれば、食料となる家畜の需要も増え続けます。家畜用の医薬品は欠かせないでしょう。
また、新興国でも将来的には日本やアメリカのようにペットを飼うのが当たり前な時代が来る可能性があります。
既に中国は犬・猫の飼育数で世界第2位です。他の国も経済が発展すれば、これに続くのではないでしょうか。
ゾエティスの売り上げの半分はアメリカ国外です。
世界中の人口増加に伴う家畜、ペットの需要増加が売上に影響するゾエティス(ZTS)には長期的な成長が期待できると思っています。
動物用医薬品は他の医薬品メーカと違って競合相手が少ない点も魅力です。
今年は株価が絶好調なゾエティス(ZTS)ですが、その企業価値が上がるのはむしろこれからでしょう。
目先の株価の変動に惑わされずに、ずっと保有し続けていきたいです。
他の記事の紹介です。
こちらはゾエティス(ZTS)の2018年の決算です。年間を通して安定した成長を持続しています。
ゾエティス(ZTS)はヘルスケアセクター銘柄なので、ヘルスケアセクターのETF VHTにも含まれています。
先日、国民皆保険制度法案でVHTの株価が急落しましたが、ゾエティスは動物しか相手にしないので関係ない法案ですね。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
よければクリックお願いします。